はてなキーワード: エピメテウスとは
たしか、ゼウスがプロメテウス・エピメテウスの兄弟を惑わすために送ってきた“人類最初の女”がパンドラ。
で、賢い兄貴プロメテウスは“ゼウスの贈り物には気をつけろ”っていってたんだけど、神々から男を引きつける能力授けられてたもんだから、弟のプロメテウスは結婚してやりまくりの楽しい日々。
で、パンドラは“絶対開けちゃいけない”って箱を持たされてたんだけど、こんなん“押すなよ、絶対に押すなよ”みたいなもんで、パンドラがある日箱を開けちゃって、なかからあらゆる災いが飛び出して、あわててフタを締めたらなかは希望がのこってましたとさ、おしまい。
つまり、この世の災いは全て、女が持ってきて、女の魅力に負けた男と神様の言うことを守らない女のせいで世界にひろまったって話。
むかしむかし、君たち人間の考えも及ばない太古の昔、おじいさんとおばあさんはまだ居なかった時代の話だ。
…いや、君たちの概念でいうところの「おじいさん」や「おばあさん」がいない、といった方が正確だろう。
君たちの足元で鞭毛を使って泳いでいる一匹のアメーバ。
そいつが途方もない時間の先に生きる君たちのおじいさんとおばあさんになることになるわけだが、今はそんな話どうだっていいだろう。
こんな昔には桃を実らす樹木もなければ、桃太郎だって生まれてやしない。
考えるのも止めたくなる時間を経た先、君たち人類のおじいさんとおばあさんにあたる生命体が現われることになる。
何千回も繰り返してきた生物たちの進化だが、性別を有する生物というのは失敗だ。
性別、いわゆるオスとメスとに区別されて呼ばれるが、彼らは常にお互いを求めて1つになりたがろうとするきらいがある。
それはもともと一匹の生命体だった頃の、細胞の奥深くに刻まれた太古の記憶なんだろう。
しかしそんな願いも虚しく、彼らはこの先も、そして永遠にお互いを分かり合うことはない。
自分こそがオリジナルだと言わんがばかりに、お互いを否定しあった先に救いはないのだから。
さて、この時代は多種多様の生命に溢れ、むせ返るほど豊かな自然はエデンを彷彿とさせるくらいだ。
苦労が売られ、その苦労の度合いに価値が見出されている時代相だからこそか、おじいさんは山へ芝刈りに行き、おばあさんは川へ洗濯のためだけに家を後にする。
これから川でおばあさんが遭遇することは、あのエピメテウスすら知ることができない、言わば歴史の奇跡ともいうものだ。
おばあさんが川で洗濯をしていると、表面には産毛を生やし、ほんのりと紅く色づいた果物が川上から流れてくる。
人としての貪欲性のためか、あるいは承認欲求が作用したのか、または川に流れる桃に対する猜疑心のない愚かさが故なのか、おばあさんは我を忘れて桃に飛びかかる。
桃はゆっくりと、そして着実におばあさんの手によって岸に運ばれる。
してやったりと言わんばかりの、あのほくそ笑んだ顔を私は忘れることができない。