2024-11-21

anond:20241121164229

免罪符(indulgentia)は、中世カトリック教会が発行していた宗教的な許しの特権を表す証書で、特に煉獄での罪の償いの一部または全部を免除するものとされました。この制度は、当初は信徒信仰を深め、善行奨励するための宗教的手段として始まりましたが、時代とともにその運用目的が変質し、議論批判の的となりました。

背景

カトリック教会教義によれば、罪を犯した信徒は神の赦しを得るために懺悔告解を行いますが、その後も「煉獄」という状態で罪に応じた浄化経験すると考えられていました。免罪符は、懺悔後に課される「償い」の一部を軽減する手段として導入されました。

最初期の免罪符は、巡礼十字軍への参加、教会慈善事業への貢献など、信仰に基づく行動を奨励するものでした。

発展と乱用

11世紀から教皇司教特定の条件を満たした信徒に対して免罪符を発行する習慣が始まりました。これには、以下のような目的が含まれていました:

しかし、14世紀以降、免罪符販売が広がり、次第に金銭で購入できるもの認識されるようになりました。この実態は、教会財政難を背景にしたもので、多くの批判を招きました。

問題点宗教改革

16世紀に入ると、免罪符商業化が極端な形をとりました。有名な例として、ドイツ教区で行われた免罪符販売キャンペーンがあります。このキャンペーンでは、「金貨が箱の中で鳴るたびに、魂が煉獄から解放される」と説教され、多くの信徒金銭を支払いました。

これに反発したのが、宗教改革引き起こしマルティン・ルターです。彼は1517年に「95か条の論題」を掲げ、免罪符の乱用を厳しく批判しました。この出来事は、プロテスタント誕生カトリック教会の大きな改革の契機となりました。

その後の免罪符

カトリック教会はトリエント公会議(1545年-1563年)を通じて、免罪符商業的乱用を廃止し、その霊的意義を回復するための措置を講じました。現代カトリック教会では、免罪符金銭と結びつくことはなく、祈り善行を通じて信徒が霊的な恵みを受ける手段として位置づけられています

記事への反応 -
  • 免罪符って買った後は証書をどうしていたんだろう 買った時点で効力が発揮されるものだから、証書自体の使い道はないよなあ 「この証書を持っていればあなたの罰は軽くなります」で...

    • 免罪符(indulgentia)は、中世カトリック教会が発行していた宗教的な許しの特権を表す証書で、特に煉獄での罪の償いの一部または全部を免除するものとされました。この制度は、当初は...

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