2021-05-22

汚部屋から東大に通った漫画家が語る「ゴキブリとの共同生活」「毒親

 高校時代から成績は優秀だったというハミ山氏。一般的東大生と同様、問題集英単語の暗記など猛烈な受験勉強に取り組み、センター試験二次試験をくぐりぬけて合格した。ただし、その“学習環境”は今考えればやはり劣悪だったと振り返る。

「浴室はゴミなどが占拠しているため毎日銭湯に通い、エアコンが壊れていたため冬は室内でダウンジャケットを着ていました。

 勉強用のテーブルゴミの山に埋もれていたので、布団を折りたたんで机の代わりにして問題集を解いていました。図書館に通って勉強したこともありましたが、公園のベンチや駅のホームなど長時間いることができる場所で暗記系の勉強をすることもありました。当時はそうした境遇にあまり疑問を持たなかったんです。

 母からは『東大受けたら受かるから受験してね』と言われ、『そういうものなんだ』と思って受験勉強しました。もっとも心の奥底では、“勉強して東大に受かったら、何かが変わるかも”という気持ちがあったのかもしれません」(同)

 そして自宅は汚部屋のまま東大入学、のちに理学部へと進む。

「自宅の状態は相変わらず。家の中と外の区別曖昧で、玄関からメートルは“土足ゾーン”でした。母が玄関付近で寝ていることもしばしば。そんな状況ですから、自宅が大学に近いにもかかわらず友達を家に呼ぶこともできなかった。ただその時も“家が汚いから人を上げられない”ではなく、“私の家は人を入れたらダメなんだ”と漠然と考えていました」

 作中では、そんな汚部屋暮らしの異常さや、母親非常識さに気付き、勇気を奮って行動していく姿が描かれる。そんな主人公自身を重ねるハミ山氏は、「人間は負のパワーでも成長できるのではないか」と問いかける。

「以前は自分の頭で何かを考えることを放棄していましたが、徐々に成長し、作中でも描いている“母を捨てる”という行動にいたります。つらいことや過酷環境に遭遇し、そこで疑問を持ち、反発するような“負のパワー”かもしれません。そんな“負のパワー”が、成長の糧になることがあると思います

毒親であることをはっきり認識していなかったが、それに気付き、決別したハミ山氏。苦しい境遇をバネにして、いまは自分人生を少しずつ取り戻す日々だという。

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