2020-08-21

なぜ高卒は軽く見られるのか

簡潔な回答

現行の制度では高校卒業程度の学力能力)を本質的証明するためには大学に進学する必要があるから

詳細な回答

日本高校には卒業試験がなく、また、卒業必要単位認定は非常に温情のこもったガバガバ基準で行われている。

これは不寛容方式で大量の高校中退者を出してしまうと格差社会化や社会不安に繋がるという現実的要請があるからだが、結果として高卒者が本当に高校卒業程度の学力を持っているか判らなくなってしまった。

大卒が何かと有利な割に大学で学んだことが仕事で活かされていない」といった話はよく聞かれるが、社会企業が求めているのは実のところ高校卒業程度の学力を持っていることの証明である

なので、本当に大学レベルの専門知識を求めている企業修士卒の学生を採る。高卒と同じように学部卒が本当に学部レベル学力を持っているか判らないからだ。

修了の認定が甘々だとこのように余計なマージンを挟まなければならなくなってしまい、ある種の非効率が発生している。

ツイッターなどで時々「無駄大学が多い」だの「高卒者でもまともな職にありつけるように」などといった言説が声高に叫ばれるが、無駄大学が多いのも高卒者が軽く見られるのも卒業認定信頼性が低いからだと考えられる。

ところで、俗に言うFランク大学センター試験得点関係なく入学できるため高卒程度の学力証明できない。大卒であってもより上位の大学と比べてあからさまに不利なのはそのためである

しかし、それでも大学に通わせられる安定的かつ良好な家庭に育った子息であるとの証明にはなるのでただの高卒よりは若干信頼される。

端的にまとめると、高卒者にはブランドがないのだ。ブランドがない者は軽く見られる。

解決するには?

結局、上記で述べた不信感を一掃するためには厳格な卒業試験を設けて高卒ブランディングを図るしかない。

しかし「おれは大卒にもひけをとらない優秀な高卒だ」とツイッターなどで口角泡を飛ばしている人たちのうち何割が、こういった種のペーパーテストクリアできるのかは極めて疑わしいところではある。

仮に数Ⅲや基礎ではない方の物理化学など一部の選択科目を除くとしても、数ⅡBや物理化学基礎をまともに理解して卒業した高卒者がどれだけいるというのだろうか?

この提案はごくひとにぎりの「優秀だが大学には行かなかった高卒者」にまっとうな評価を与える代わりに、大量の高校中退者を生む能力差別的発想でもある。

皆さんは、より潔癖な制度がより格差を生むと考えられる場合に、どちらの立場をとるだろうか。

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