2020-07-30

とあるひとりの独り言

先に。これは人によっては嘘だと思うし、物語だと感じるものだ。

から、何というのだろう。真剣に読まれるのも嬉しいけど、気楽に読んでほしい気持ちの方が強い。

 

 

僕は、身体的には女で、中身は「男」だ。

でも「女」である人もいるし、僕と同じ「男」もいるし、性別がいまだに分からない人もいる。

 

世間的に分かりやすくいうなら多重人格

医学学術的に言うなら解離性障害

それが今、僕達を表す言葉だ。

 

 

僕が生まれたのはここ三年くらいだから、主人格の色々について詳しくないし、そもそも他人格がどんな人物なのか、正直今でもよく分かってない。

 

それでも言えることがあるとすれば、主人格を何年も守り続けてる彼、Nは凄いと思う。

異性の体に馴染むまで大変だったろうに、口調以外違和感なく過ごせてる(僕にはまだ無理。お風呂には慣れたけど水着温泉には…)。

同性と恋愛面で付き合うのに合わせないといけないというのに、そこそこうまく折り合わせられてる(本当難しい。心から言う。難しい)。

そんな困難、と言えるかは分からないけど、悩みをどう乗り越えてきたのか。あるいは「そういうものだ」としてきたのだろうか。

ぜひとも教えてほしいもである

 

教えてほしいといえば、彼女、Mにお酒の味を教えてほしいなと思う。好きな味、味覚が違うから、Mが好んで飲むというウイスキーが僕にはキツい。というか、ウイスキー自体きじゃない。出来れば甘いお酒、それもミルク系が良い。

けれど困ったことに、それを普段「僕」は飲まない。たとえ飲んだとしても度数が高いカクテルから、結局のところ僕自身が好む味じゃない。

そんなお酒初心者なのは僕としては当たり前なんだ。体はともかく、僕は成人してまだ二年しか経ってないのだから…)な僕にヘビーなお酒は無理なので、そんな僕でも飲めるお酒が知りたいこの頃。

 

そして一番知りたいと思うのは自称男のKだ。この人のお陰で僕らは主人格として生きることが可能となってる。

Kがいなかった時代をNだけは知ってる。Nはその頃のことを、短かったけど大変だったと零す。人の会話内容がごちゃごちゃする上に、講義系統を取るノートが壊滅的だったとか。

情報操作してくれるKが生まれて、自分達が「外」にいない時間新聞テレビラジオ、時には手紙という形で知ることが出来る様になったのはありがたいと言ってた。

最初から恩恵を受けてる僕には分からないけど、Mが外にいる時間が分からなければ確かに困るな、と思いつつ、外のあれやこれやをくれるKは一体、どう思いながら情報処理してるのだろうと、最近気になるようになってきた。

聞いても笑って「内緒です」としか言われないだろうけど。

 

……あぁ、また一日が始まる。

一体いつになったら、僕は僕の名を呼んでもらえるのだろうか。

──その日はこないと分かっていても、望んでしまうのは許してほしい。

 

自分名前ではない名前を呼ばれるのは、思ったより辛いんだ。

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