ここ数年、Web系エンジニアはかなりの人手不足らしく、有効求人倍率も7~8倍に迫る状況で、いわゆるWeb系ベンチャー企業様から採用コンサル的なことをお願いされることが多くなってきた。有効求人倍率も7~8倍となると、数字そのまま人ひとりを7~8社の企業が奪い合っている状況で、建築業界や看護業界を超えて人が足らない状況である。
数年前までは他社よりも良い待遇(給与・環境)を示すだけで応募があったらしいのだけど、ここ数年では応募が少ないを通り越して「人影が見えない。どこにも人がいない」という状況とのこと。そうなると「人を選ぶ状況ではないので、どうしても満たしてほしい必須条件をいくつか設定して、その条件を満たしたらどのような人であれ採用してください」というアドバイスをすることになる。人として気に入ろうが気に入るまいが、その人の能力を発揮させるのがマネージャークラスの役割だし、好きだろうが嫌いだろうがちゃんと仕事をするのが大人なので、「条件を満たすかどうか」で採用を考える必要がでてくる。採用した結果「だめなひと」だった場合は、その人の能力が発揮できるような場所に配置換えするなど、それこそが人事のお仕事になる。
「スカウトを送る際は“あなたのプロフィールをちゃんと読んでます”というサインを入れた文章を送る」だとか「気に入ったスキルを持った人がいたら決裁権を持つ人が同席して一回の面談で採用を決める」など、もちろん細々としたアドバイスもあるが、大前提として「なんとしても採用するぞ!」という意識を持てるかどうかが重要になる。「いい人がいれば是非とも採用したい」などと言っている状況ではない。
で、実際に採用の経過をみてみるとまったく採用にいたっておらず、採用担当者様に「あれ?先日スカウトを送って面談に来てくれた方はだめだったのですか?」ときくと、大概「なんとなくアレがいや」「なんとなくコレがいや」「なんか方向性が違う」と第一印象や人柄や目つきにまで難癖をつけて、未だに「人余り時代」の採用マインドを捨てきれていない。
「下手なエンジニアが一人でも入り込むとコードの品質を担保できなくなる」から始まって、よくよく話を聞いてみるとどうやら「選民意識」が邪魔をしているらしい。(品質管理の問題を人事採用で管理しようとしていることについては、また別の問題) 要は、「私達は特別なスキルと特別なビジネスマインドをもった、選ばれたエンジニアなので、これから入ってくる人も選ばれたエンジニアでなければいけない」みたいな考え方がある。他にも「今やってる仕事は最高に楽しいし、この会社も最高に居心地がいいので、この環境を壊すような(選ばれていない)人が入ってくるのは避けたい」みたいな、要は「選民意識」。
これが現場採用担当者様だけであればまだいいのだけど、企業様によっては経営者自身が「選民」だったりするので、そうなるともう手に負えなくなる。
この期に及んで「選民」の意識を捨てきれない会社さんは、もうそれ以上伸びようがないし、こちらとしても手の付くしようがないし、案件としては終了させていただくことになるし、そんな会社には転職しないほうがいいと思うよ。
別にウェブに限らず自称人手不足なんてどこもそんなんじゃん