ブラーくんも、毎度ナントカさんに振り回されつつも、そのノリに慣れてきた……どころか心地よくなりつつあった。
???「たのもー!」
そんな二人の間に、今日は珍客の来訪。
その髪の色に見合ったドギツい声色で有名な同級生で、みんな親しみをこめて「ヤイノちゃん」と呼んでいる。
しかし、この国の、この学校の文化に馴染めていないブラーくんは、彼女を頭のおかしい人と認識していた。
ブラーくん「仮入部ですけど……」
ヤイノちゃん「え、まさかカントカ部に入ったの!? 頭おかしいんじゃないの」
ブラーくん「仮入部ですって。それに頭おかしい人に、『頭おかしい』って言われたくない」
ヤイノちゃん「失礼なヤツね……ふん、でも一人増えたところで事態は変わらないわ。さっさと教室を明け渡しなさい。部員の少ないクラブに、勝手に空いた教室を使わせるわけにはいかないのよ」
ナントカさん「だから、ヤイノちゃんにそんな権限ないでしょ。先生にも許可は貰っているし、空いた教室を他に使う予定もないのだから、やいのやいの言われる筋合いはありません」
理由は分からないが、ヤイノちゃんはナントカさんを目の敵にしているらしく、時たまこうやって部室に押しかけてくるらしい。
ナントカさん「はあ、小学生の頃はあんなに大人しくて可愛らしかったのに、どうして今はこんな風になっちゃんでしょう」
二人の関係は数年以上前から続いており、いわゆる幼馴染ってやつだ。
きっと浅くて深い因縁があるのだろう。
ナントカさん「残念ながら、今日はヤイノちゃんと遊んでいる暇はないんです。なんてたって今日は、カントカ製造工場の見学に行くんですから!」
ブラーくん「え、初耳なんだけど」
ヤイノちゃん「そういって逃げるつもりなんでしょ。そうは問屋が卸さないわ!」
ブラーくん「まさかジャポンの、しかもこんな都会のド真ん中にあるなんて……」
工場案内人「今回、工場を案内させていただくサスタと申します」
ヤイノちゃん「本日は急な見学に応じていただき、まことにありがとうございます」
ブラーくん「さっきあんなこと言っておいて、よくそんな対応が出来るなあ」
ヤイノちゃんは外面だけは良かった。
ヤイノちゃん:ピンクツインテールがキマッている。ナントカさんの幼馴染。最近は疎遠になっていたが、ブラーくんを巻き込むナントカさんを止めるという名目で、ことある事にやいのやいの言う。だが、最終的にはカントカに満更でもない感情を抱く。一応はツンデレ属性ということになっている。
ナントカさん「カントカが、カンダイをアブダンすることは説明しましたよね?」 ブラーくん「うん、まあ。でも実際問題どうするの? カントカでどうにかなるイメージが湧かないん...
1カントカ 「ブラーくんは部活に入りたい」 ここは普通の高等学校。 留学生のブラーくんは、部活選びで戸惑っていた。 なんと彼の国では最も活気のあるスポーツのゲートボールが...
≪ 前 工場案内人「こちらではカントカのシアマル部分を作っています」 ブラーくん「シアマル?」 ヤイノちゃん「あんた部員なのにそんなことも知らないの? シアマルはアブダン...
≪ 前 「ほら、どうだマスダ。これが、いま一部の界隈で密かに話題の『ナントカさんはカントカしたい』だ」 タイナイは意気揚々とススメてくるが、何が面白いか俺にはよく分からな...