ナントカさん「カントカが、カンダイをアブダンすることは説明しましたよね?」
ブラーくん「うん、まあ。でも実際問題どうするの? カントカでどうにかなるイメージが湧かないんだけど」
ナントカさん「そうですねえ、色々なスタイルがありますが、今回は基本的な方法でやってみましょうか」
ブラーくんは内心興味がなかったが、熱心に実演する彼女に気を使って言い出せなかった。
ナントカさん「まずカントカの表と裏を把握すること。これを間違えたまま使ってしまうのが初心者あるあるです」
ブラーくん「どこで見分けるの?」
ナントカさん「ここについている、ビクレの皆無で見分けます。ビクレのあるほうが裏です」
ブラーくん「ああ、分かりやすい。つまりビクレのないほうが表か」
露骨なおべっかに、よほど勧誘に必死なんだとブラーくんは思った。
ナントカさん「最初はゆっくりやりますね。裏側に利き手の指の第一関節を軽く引っ掛けるようにしたら、カンダイのルブカ部分をもう片方の手で持つ。そして捻りを加えながら、カントカを表と裏の両側から交互に引っ張りあげる」
ブラーくん「うわ、そうなるんだ。でも、まだアブダンされてはいないね」
ナントカさん「ここからはゆっくりやると失敗するので、よく目を凝らしてくださいね。ルブカ部分を持った手を離すと同時に、カントカを回転させて……アブダン!」
ブラーくん「おおっ!」
ブラーくんが感嘆の声をあげたのは、カンダイをアブダンした光景に対してではない。
彼女がカントカを使ってカンダイをアブダンする姿が、妙にセクシュアリティであったためだ。
ブラーくん「え、まあ、blah blah blah……」
ナントカさん「気のない返事。じゃあ、実際にブラーくんもやってみましょ!」
ブラーくん「えぇ……と、まずはビクレのある裏側に指を軽く引っ掛けて……カンダイのルブカ部分をもう片方の手で……」
ナントカさん「あ、違う違う! カンダイのルブカ部分はこっち」
ブラーくんは酷く取り乱した。
ブラーくん「ちょっ、近い近い! さっきも思ったけどパーソナルスペース! 個人のパーソナルスペースをもっと尊重して!」
ムッツリスケベのブラーくんだが、過度な肌接触は刺激が強いのでノーサンキューだった。
ナントカさん「……ほら、これでアブダン。ね、カントカって面白いでしょ?」
ブラーくん「と、とりあえず……仮入部ってことで」
結局、狼狽したブラーくんは、なしくずし的に入部を承諾してしまった。
なあなあに、正式に入部した扱いにされてしまうのだろう、というのを感じつつも……。
ナントカさん「そこから更にカンダイをアブダンしてもいいし、ラミサやパロニをアブダンしてもいいけど初心者向けじゃないから、また今度」
ブラーくん:留学生。どこの国出身かは作中で明言されないが、見た目はハーフ&ハーフっぽい。学校案内の際にナントカさんに目をつけられ、半ば強制的にカントカについて関わっていく。ナントカさんの強引なカントカ講釈のせいで、よく面倒くさいことに巻き込まれる。ラッキースケベにも良く合うが、当人は不本意らしい。ややムッツリスケベ。
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