同僚の結婚で思い出したので。
転勤で配属された支店の直属のお局先輩がいつもムスッとして口を利かずなにかあると人に当たり散らして同僚とも険悪だった。
支店内では腫れ物を触るような扱いを受け課長以下全員が最小限しか話しかけずいつも険悪な空気が流れていた。
1対全員になっていた。
でもこのままでは私のストレスが溜まってしょうがなくなるだろう。やるしかないと思った。
定時になるとさっさと返ってしまう先輩を「待ってくださ~いそこまで一緒に帰りましょ!」同僚たちがギョッとするなか一緒にトイレに行きロッカーで着替え駅で別れるまで手探りでいろいろ勝手なことを話しかけた。
彼女の好きそうなものを持ち物や言葉尻やショップになげる視線から汲み取り終始楽しそうに褒めたり同調し少し私の意見も言ったりして「お疲れさまでした~また明日!」と言って明るく別れること一週間。
はじめは何だこの子は?と怪訝そうだったが先輩の方から話しかけてくれるようになってきた。
そもそも誰ともおはようございますやお先に失礼しますのあいさつもしてなくてでも私にはあいさつをしてくれるようになった。
まだ社内で不機嫌のポーズを変えるのには抵抗があるらしかったがそれでも私には徐々には怒ることが少なくなっていった。
同期には「あの人嫌な人じゃない?嫌いじゃないの?なんで仲良くできるの?」と言われたけど「ん~あまり気にならないかな」と答えておいた。
本当は仕事の一環として考えているから嫌いもなにもないんだけど。
同僚は理解できないし関わりたくないとばかりにざっと離れていった。あいさつはしてくれたけど。
2対全員になっていた。
しょうがない。これは織り込み済みだ。
先輩は社内でも徐々に私には笑顔をみせてくれるようになりなんでもないことでも怒っていた先輩が私の仕事やミスには「しょうがないな~」と笑って許してくれるようになった。
他の人に八つ当たりしているところを横にいる私に聞かれるのにバツが悪くなったのか「○○ちゃ~ん今さ~☓☓さんがこんな事してくれちゃって困ったよ~」と報告してきて私に話すことでストレスを発散するようにもなってきた。ゆっくりだが同僚への風当たりも弱くなってきた。
例えばちょっとしたミスをおそるおそる先輩のところに持ってきた新人に「まぁいいよこれくらいなら」と言い新人は驚いてかたまったりしていた。
まわりにで聞いていた同僚も振り向いたりしていた。
約半年そんな感じでだんだん誰にでも笑顔を見せるようになり主に後輩には会話が成り立つ人が増えてきた。
でもここぞとばかり無視し続ける人もいて。
それからまた半年ほとんどの人が彼女と会話できるようになっていた。かなり支店の空気は良くなってきていた。
副店長にはこの1年の変化をよくやってくれていると褒めていただいた。「いえ自分のためです」と言ったらうなずいてくれた。
ある日「○○ちゃんちょっと話したいことがあるんだけど帰りお茶しない?」はじめてのお誘い。はじめてのお茶だった。
期待半分不安半分で行ってみたら
「なんかさ~付き合ってって言われちゃったんだけどさ~どう思う?」
なんでも半年ほど前に始めたテニススクールの人に告白されたとか!
「絶対YESですよ!付き合ってみなきゃわからないです付き合いましょう応援しますよ!」
「そうかな~でもそんなに言うなら付き合ってみようかな~」満面の笑みで相変わらず素直じゃない。
それから毎週のように報告があり約1年トントン拍子で結婚の話になった。
支店内にそれが知れわたった頃同期に言われた。「絶対結婚させてよね」
「結婚して彼女が辞めるか結婚がダメになって私が辞めるかどっちかだよ」と返した。
ここ2年全く協力してくれなかった同期になぜ今頃こんなことを言われなければならないのか。
そして後輩は結婚することになった。
スピーチをしてほしいと言われた。
幸せそうな先輩。おめでとう先輩。良かったね。
寿退社ってすばらしい。
つかれたよパトラッシュ…
実は話す内容は愚痴や悪口ばっかりなんだけど、 顔が良くて笑顔の人って爽やかに見えちゃうもんですよね
笑顔に勝るものはないですね。 でもこの先輩の場合は元が素直だったのでよかったです。