ただ、言い訳をさせてくれ。
だが、俺たちと同じ立場だったら、同じことは言えないと思うんだ。
勘がよければ解けたかもしれないが、多くのピースはまだ当事者たちが握っていた。
そもそもの話として、俺たちがパズルを解く意義なんてものは存在しない。
あったとしても、自分たちの方法が最適ではないことも承知の上だ。
それでも俺たちが悠長に構えていられたのは、パズルのピースを多く握っている人物たちが介入しなかったからだ。
だが俺たちがパズルに悪戦苦闘している間も、時間はゆっくりと、確実に流れている。
父だ。
母とムカイさんの問題だからと、視野を狭めてしまっていたことを、その時になって自覚した。
しかも提示されたピースは、俺たちが予想もしていなかった形ときたもんだ。
「最近、越してきたムカイさん、だっけ? もしかしたら、“あの組織”に関係しているんじゃないか?」
ある日、父は母にそう切り出した。
食事後、余韻に浸っているときに、いきなり出てきた意味深なワード。
俺たちは面食らったが、お腹いっぱいだ。
「……そうかもね」
しかも母の反応から察するに、それはパズルを完成させるのに決定的なピースだった。
「父さん。あ、“あの組織”って……?」
「うん? よく話していたでしょ。若い頃、母さんが戦っていた秘密結社のこと」
「……ええっ!? あれって、実話だったの?」
どうにも頭の整理がつかないが、俺たちは慌ててパズルの完成に取り掛かる。
だが、その時。
ーーーピンポーン
家に訪ねてきたのはムカイさんだ。
「……どのような、ご用件で?」
「……やっぱり! 『シックスティーン×シックスティーン』の残党!」
この時点で、完全に俺たちはパズルゲームの参加者から、観戦する側に変わっていた。
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