先日彼女はジブリの書類選考に通り、実技試験を受けにジブリに行った。
結果的には実技試験で落ちてしまったのだが、とても有意義なテストであったと報告を受けた。
言わずもがな彼女は生粋のジブリファンで、全作品、全ドキュメンタリーを制覇する猛者である。
ファンではあるものの、学生時代は手書きアニメをやることはなく、ソシャゲのキャラデザや3Dアニメーションの制作に明け暮れていた。
アニメ業界に行くことも考えてはいたようだが、給与面を考え別業界を選んだ。
その時すでにジブリの制作部は解散し、引退会見も行っていたため、まさか新人募集のチャンスなんて来ると思っていなかったのである。
働き始めて、数年。毎日朝早くから夜遅くまで働き、自分のキャリアについて今一度考える良い時期に、今回の求人が来た。
仕事で忙しい合間を縫い、土日で書類選考のための作品制作を行った。
久々に絵を描いたようで、〆切までの2か月間フルで使いギリギリまで時間を使い提出をした。
2枚ケント紙に絵を描く課題だが、1枚目に1か月半要し、残りの半月で2枚目を描き切った。
あわてたせいで作品の記録は残し忘れた。
(すごい後悔している)
後から聞いたが、この時点で応募者全体の数パーセントの中に入ることができたようだ。
しかし、ここからの選考はアニメーターとしての素質を見られる試験となる。
(試験内容については触れないことにする)
現役のアニメーターがサンプルで見せたらしいえんぴつで描いて見せた線は、まるでパソコンで引いたような線だったらしい。
「練習すれば引けるようになる。でも練習しても一生引けない人もいる」
そう答えたそうだ。
受験生を見ると、現役のアニメーターの割合は少なかったようだ。学生やゲーム会社のデザイナー、マンガ家のアシスタントなど多様な人材を選んだようだ。
しかし、学生時代にアニメをやっていた人が居たりしたようで、彼女は圧倒的に不利であった。
おそらくもう無い。
これから彼女がジブリからアニメの技術を学ぶ術はもうなくなってしまうのだ。
「後悔していないと言えば嘘になる。ただ、学生時代からちゃんとアニメをやっておけばよかった。でも試験は全力で取り組めたから後悔していない。」
これからどうするの?
「わからない。でもこれからアニメ業界がどんどん衰退していくのを見ていたくはない。今回は落ちたけど、選考の数パーセントの中に入って自信は持った。別の方法でアニメ業界に貢献できる人材になりたい」
かっこいいなと感じた。
就職はデザイナーで済ましてるし 自分に箔のつくジブリしか就職受けないとか 言うほどカッコよくないと思うが