海外からの観光客向けICカード乗車券「関西ワンパス」の利用状況が4/18に発表され、滞在時間(中央値)では奈良県の4.7時間が関西一短かった。
これを聞いて思い出すのが、2014年~2015年に奈良市長の発言としてあっちこっちで取り上げられた「海外のガイドブックは奈良は3時間で十分と酷評」報道。
仲川市長は「奈良は外国のガイドブックには『3時間で十分』と書かれ、通過する観光地になっている。『シカと大仏しかない』とされる現状を脱却したい」と意気込むが、効果的な打開策はまだ見えない。
(読売、All About News Dig、週刊東洋経済、日経、WebComputerReport、TOブックス、まぐまぐニュース、KAWADE夢文庫、中国人観光客の奈良インバウンドに向けた調査研究も同様)
いったい本当なのか。産経新聞への公開質問状に対する回答によると、市長は奈良県の古い調査書を見ただけで、ロンリープラネットなどに書いてあるらしいとしかわからないという。
奈良市長の発言の根拠は、平成18年の「奈良県外国人観光客実態調査結果報告書」に書かれた内容に基づいていると確認しています。報告書では、『ロンリー・プラネット』等には、奈良観光旅行の紹介を滞在3時間程度あれば可能と紹介されており、これを払拭するために観光ルートを紹介した情報発信の取り組みが必要と指摘されています。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=232107930333531&id=126514210892904
しかし、実際にはロンリープラネットにそのような記述はなく、市長が根拠としている県も新聞で見ただけ。
報告書が名前を挙げた有力な案内書の当時の版を「奈良の声」が確認したところ、「2日かけるのが望ましい」となっていた。県によると、当該の記述は新聞記事からの引用で、案内書そのものは確かめなかったという。(中略)県観光プロモーション課によると、引用元の新聞記事は残っておらず、当時の担当者はどの新聞にどのように書いてあったか具体的なことは覚えていないと話しているという。
そこで、奈良県立図書情報館協力のもと、産経新聞大阪府下版、日経新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞奈良面、奈良新聞、奈良日日新聞を調査したところ、該当する記事は見つからず。仕方がないので、地道にガイドブックを一つひとつ確認していった結果、唯一Frommer's Japanには3時間の記述があったけど、時間が十分でなければ3時間であって、3時間で十分ではなかった。
If you don't have much time, the most important sites to see are Todaiji Temple, Kasuga Shrine, and Kofukuji Temple's Treasure House, which you can view in about 3 hours.
http://www.frommers.com/destinations/nara/attractions/overview