田中ゆうたろう杉並区議(美しい杉並)が理事を務める社会福祉法人明愛会(理事長は田中悦子氏=田中議員の母)明愛保育園(杉並区和田)の新設に区が補助金約1億6420万円を支払った件で、このうち約4700万円が、隣接する明愛幼稚園の経営母体・学校法人山本学園から用地借用に伴う「土地賃借料」の前払い金だったことが情報公開請求によってわかった。
土地の貸主である山本学園の理事長は田中区議の祖母にあたる山本澄氏で、住所も田中区議や田中悦子明愛会理事長と同じ。つまり親族経営の法人同士で土地を貸し借りすることで補助金を身内に取り込んでいるようにみえてくる。
この点について本誌記者は9日夕方、田中区議に電話で取材した。田中区議は「手元に資料がなく詳しく答えられない」「ノーコメント」「法律にのっとって(手続きを)行っており問題はない」などと回答したが、それ以上の詳しい説明は得られなかった。
そのご不動産登記簿謄本を確かめたところ、明愛保育園の用地(約400平米)はもともと国有地で、保育園建設がはじまる2013年に山本学園が1億9000万円で取得していたことがわかった。山本学園が取得後、同年に設立したばかりの社会福祉法人明愛会が賃借し、地上権を設定している。4700万円の補助金は、この賃貸借契約にもとづく賃借料の前払いという形で払われた。
山本学園と明愛会の契約内容については、情報公開請求で開示された公正証書に書かれているが、賃料や保証金などの金額部分は墨塗りになっており不明だ。
なぜ明愛会として購入せず、山本学園が購入したものを借りる形をとったのか。釈然としない点が残る。追って取材をつづけたいが、現時点で考える限り、補助金の予算・決算審議にかかわる際、利害関係、あるいはそれに近い立場にあった事実を明らかにしなかった点については道義的責任を問われてもしかたないだろう。
保育課によれば、補助金は「杉並区私立保育所整備補助金」と呼ばれるもので、建物と借地に支給。借地については路線価の2分の1を上限に払われる。財源は大半が都から区に払われる助成金で、2014年度は約10億円の予算があり、執行されたという。
なお、社会福祉法人明愛会の理事には、「つくる会」教科書の採用を強力に推進したり山田宏前区長の政治資金パーティのパーティ券を購入していたことで知られる元教育委員の宮坂公夫氏(杉並幼稚園園主)が名を連ねている。