2021-04-11

私は公務員だったのに

 4月に転職をして一週間以上経過した。新しい職場ガラスの卸をやっている中小企業で、私は制服を着て、営業事務として見積書を作ったり請求書を作ったりしている。雇用形態契約社員で、この会社営業事務契約社員しかいない。会社の中ではパートさんと呼ばれている。とはいえ私はフルタイムで働いているので、何でパートさんと呼ばれているかは謎である

 私は大学卒業してからこの3月まで、区役所に勤めていた。だいたい10年間働いた。その話をすると、聞いた人はみんな「どうして辞めちゃったの?公務員の方が安定していたのに」という。私もそう思っていた。ただ、私は非常勤職員嘱託職員最後会計年度任用職員と呼ばれていた、つまり非正規雇用公務員だった。

 大学四年生の時に、内定がなかった。就職浪人するだけの余裕がなく、かといってフリーターになるのも嫌だった。そんな折、叔父がそこで働いていた関係で、非常勤職員の働き口を紹介してもらった。期間は一年だけど、みんな延長を繰り返していて、実質的には公務員から、と叔父は言っていた。私は履歴書を書いて、形ばかりの面接を受けて働き始めた。

 私の職種事務補助員だったので、コピーを取ったり簡単な打ち込みをしたり、来客にお茶を出したりするような仕事だった。給料は良いとは言えなかったが、実家だったのでなんとかやりくりしていた。同じ職場更新を二回した後、その職場事務補助員を廃止したので、私は別の部署を紹介され、そこの嘱託職員になった。仕事はだいたい同じで、若干の接客が発生した。

 令和元年度から法律が変わって、私は会計年度任用職員になった。うちの区役所では、基本的事務補助の非常勤職員嘱託職員も全員会計年度任用職員に移行した。筆記試験面接を受けた。面接の時に、筆記の成績が悪いか勉強しないと来年は危ういよ、と面接官に言われた。そこで初めて会計年度任用職員は毎年試験を受ける必要があるのを知った。

 会計年度任用職員になってからも、同じ部署所属していた。課長は、「できればきちんと試験を受けて正規職員になれるよう努力して欲しい」と言っていたが、専門学校にいくだけの余裕はなかったし、独学できるほどの頭もなかった。転職も考えたが、スキルがなかった。とはいえ試験さえ受ければ会計年度任用職員でもずっと役所にいられると思っていたから、この時はそれも無視していた。

 二回目の試験普通に受かったので、令和二年度も同じ場所で働いた。去年の秋の試験では、面接から「できれば一つの職場にとどまらず、正規職員と同じように職場をローテーションしてほしい」と言われたが、同じ職場で働いて6年も経っていたのでピンとこなかった。だから、ローテーションは絶対に嫌というわけでではないが、同じところの方がいい、というようなことを答えたた。

 結果的に、私は今年は採用されなかった。コロナの影響で受験者が多かった、と言うふうに説明されたが、筆記が悪かったのか、面接が良くなかったのかは不明である。聞いた時は目の前が真っ暗になった。一応は名簿搭載されているので空きが一年以内に出ればまた採用してもらえたらしいが、私の職場にはもう別の会計年度任用職員がいるし、何をやらされるか、いつから働けるかも分からない。そう思うと転職する他なかった。

 転職エージェント登録をして、今の会社を紹介してもらった。派遣期間は2年で、給料は今までと変わらない。会計年度任用職員になってからボーナスも出ていたのに、今の会社ボーナスが出ないのでげんなりしている。一緒に働いているパートのおばさんからは、「公務員は辞めちゃダメだって」としたり顔で言われるが、おばさんは終身雇用でない公務員がいることを知らない。

 非常勤職員嘱託職員時代はともかくとして、会計年度任用職員制度上は公務員だった。服務の宣誓もした。官制ワーキングプアをなくすため、なんて試験の時に会計年度任用職員の成り立ちを教わったが、私は賃金もずっと低く貯金もできないワーキングプアだったし、その挙句簡単に切られてしまった。勉強をして正規公務員にならないのが悪いと言われたらそれまでだが、そこまでの頭がなかったから仕方ない。でも、やっぱり私は区役所でまだ働いていたかった。友達も知り合いも多かったし、仕事内容も気に入っていたのに。ボーナスだってやっともらえるようになったのに。会計年度任用職員だって、きちんと公務員だったのに。

 誰かに公務員を辞めるのはもったいないよ」と言われるたびに、本当は「私だって辞めたくなかったよ!」と言い返したくてたまらない。だけど、そうすると色々説明しなければいけないことがありすぎるから、私はただ曖昧に笑うだけだ。

  • 公務員って言ったら正規だと思われるよ 非常勤って言わないと勘違いされる

  • マジで公務員じゃない案件だな

  • 大変厳しい物言いではあるが、新卒就活で内定がなかった、紹介してもらって非常勤職員として働いた、それが「コピーを取ったり簡単な打ち込みをしたり、来客にお茶を出したりする...

  • 「おばさんは終身雇用でない公務員がいることを知らない。」んじゃなくて、単なる説明不足です。増田は「元公務員」ではありません。

    • それな いや元公務員ではあるけど非正規だから切られたって言えば済む話じゃんね

      • 非正規でも公務員だったって変なプライドが入ってるんだよ 他人とは違いますよ、なプライド

        • コピー取り、お茶くみ、試験はあれど独学では難しい…実務が散々なのにプライドを持ってるって「公務員」ってついた名札で自分をごまかしてただけで中身薄っぺらすぎるじゃん…

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