追記。8日ソワレの当日引き換え券を購入した。前回視力的に見えなかった部分を補完できるよう前方列の上手~中央の席をご用意いただけると良いのだけれど。
白い鞠?は唯一『私』よりも先に舞台上に存在するので、高次元存在である可能性や何かの表現であったりしないか。
秀ちゃんと吉ちゃん、初見では(誰しもそうだろうけど)双生児ではなく比喩としての『醜くコントロールできないもう一人の自分』の話だと思っていた。
エグい描写が続いていたので、比喩と見せかけて実際の奇形の話であったというオチにまんまと流されてしまったけれど、
この物語が諸戸の視点であるならば、箕浦と秀ちゃんの恋愛描写は雑で蔑ろであったのに(彼にとっては箕浦と他人の恋愛なんてどうでもいいからだ。箕浦が物語の視点であるならばこの恋はもっと尊く丁寧に描写されているであろう)、妬ましい秀ちゃんの手記はいやに丁寧に描写している。
これは秀ちゃんと吉ちゃんの存在が、諸戸ないし箕浦の隠喩だからではないだろうか。
諸戸本人の感覚というよりも、より高次元な作者・超自我としての感覚で、『諸戸から箕浦への愛』に対し、『美しいものであって欲しい』という望みと、『どんなに消されても消えない愛の炎と欲望は醜い』と卑下する気持ちと二面を抱えているように見えるのだけど。
『自分の愛は醜い』と卑下してしまうのは、受け入れてもらえないことが唯一で絶対の理由だと思う。箕浦が諸戸の愛を受け入れてしまえば、もうそれは醜いものじゃなくなる。
諸戸の二面性は彼の超自我によるものだと私は考えるけれども、ある意味箕浦が愛せた諸戸と受け入れられない諸戸の二面でもある。
吉ちゃんに凌辱される秀ちゃんとは、愛欲をコントロールできず捕らわれ続ける諸戸であるなと。
箕浦はまさしく舞台上にて『私』と『箕浦』の二つに分かれている。
同一人物であった二人が切り離されたように見えるのは、井戸の中での諸戸の告白辺りから。……それ以前、島に着いてからもかなり二人の差が「目について」くる。異様に見えてくる。
井戸を出た時の諸戸の表情が座席位置の関係で見えなかったのだけど、彼は箕浦に何を見たのだろうか。
私は諸戸に対して全くもって嫌悪感がなく、むしろ清楚な色気すら感じていたのだけれど、ラストのセリフ・親御さんからの手紙の内容を聞いたときに唯一初めて諸戸のことをきもちわるいと思った。
諸戸本人からの求愛であったならまた印象は違ったのかもしれないけれど、第三者から告げられたそれはすごくきもちわるかった。
(これは私が『告げ口』というものに異様な嫌悪感を持つために抱いた感情なのかもしれないけど、あれだけフッたのに他人からまだアイツお前のことが好きだってと言われるなんて、しかもそれが息子を失った親御さんからの訃報でだなんて、最悪すぎるし気持ち悪過ぎると感じるのですが……これで意中の相手が振り向いてくれることなどあるのでしょうか?)
だから、実はラストシーンは佐藤さんの反応を見逃すまいと凝視してしまって。
私は諸戸すげーきもいと感じるけど、『私』はどうだろうなと。
そのせいで他の要素を見逃している可能性が高い。
あと、どうやら原作ではそれなりに諸戸の好意はきもちわるいようなのだけど、舞台では健気で美しい印象の方が強かったので、それは私が田中さんの美しさ・色気に当てられて誑かされていたからなのかどうかもしっかり見極めたい。
更に追記
ラストシーンの手紙から受けた『諸戸きもちわるい』って印象、この手紙を読むのが井戸の中で消えた箕浦役の石田さんが担当しているからって可能性もあるのかも。
あのセリフを言ったのが箕浦かどうかはまだ考察できないけど、『消えた自分』にそんなこと言われて亡霊度がめっちゃ高くて不気味だったような気がしている。
怨み言や呪いのように聞こえた。
こちらも改めて確認したい。
更に追記
諸戸が箕浦を好きになった理由は原作からも明らかにされていないらしい。
しかし口説き文句に「君は美しい」とあるそうで、これは他の人も言ったセリフである気がする。
本作品中において『美しい』と評されることの意味は重いはずなので、
誰がいつ何を『美しい』と評したか、その評価の意味を捉えていきたい。
更に追記
「『私』が白髪になるほどの恐怖」とは何であったのか原作でも名言されていないらしい。
また、どうしても視覚情報の伴う舞台では白髪になったターニングポイントが「見えて」しまうため、原作にならい解釈の余地を生ませるよう演出されているのだが、それでも舞台上に起きた出来事はどんな解釈でなされていたか、芝居の息遣いをしっかりと感じておきたい。
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