2014-04-19

アニメ制作会社過労死の件を、自分なりに考えてみた

あちらこちらで騒がれているアニメ会社過労死の件について。アニメーション制作は大変らしいが、外部の人間としてはどれだけ大変かが分からない。自分アニメ無知なので、まずはアニメ案件がどれくらいの規模なのかを調べてみた。パラパラマンガを見た事がある人ならわかるように、アニメーションは、複数の静止画(コマ)を動かす事で成り立っている。ここで調べた事を要約すると、

1.1コマの各素材を作成する

2.1コマの各素材を張り合わせて、1コマ作る

3.各コマを張り合わせてアニメーション完成

と、アニメは大まかに3つの過程に分けて作られるようだ。さらに詳しい工程は「アニメ制作工程2」に譲るとして、ここから自分がこのアニメコマの監修するして思った事を話そう。

まず確かに上記の要約から考え、1で1コマの各素材を書き分けるためキャラクターの動作、背景と違う人が書き分けやすいし工数削減出来そうな手法だ。ここで1秒間に30コマ書くと仮定し、24分放映すると仮定するならば、1話当たりに用意するべきコマの総数(コマ) =30(コマ/秒) * 60(秒/分) * 24 (分) = 43,200(コマ)と仮定できる。さらにこれを5日間で書くと仮定すれば、1日当たりに書くコマの数(コマ) =43,200(コマ) ÷ 5(日) = 8,640(コマ/日)とかなりの数を書くことになる。

こういう制作業界がみなし残業になる理由(背景)

計算をしてみて思ったが、こんなの誰がやるんだと思ってしまう。これだったらアニメ広告枠の売買をしてる方が儲かりそうなものだ。ここから下請け業界が何故見なし残業になりやすいかについて話す。

以下のサイトを見ていると、まずアニメ制作会社ポジション広告代理店テレビ局が受注した案件を受ける形のようだ。ここでアニメ会社に入るお金割合は800(万円) / 5,000(万円) * 100 = 16(%)と低い割合だ。どうにもこうにも30%〜40%位は欲しい所。

スポンサーが5,000万円を払うが、広告代理店放送局が介在して、最終的にアニメ制作会社に入るお金は 800万円(「アニメ産業の低賃金:Open ブログ」より)

さらに一件当たりの案件単価の平均を800(万円)と仮定し、1年当たり10アニメを作ると仮定すれば、アニメ会社の年間総売上 = 800(万円) * 10(本) = 8,000(万円)、月平均 = 8,000(万円) / 12(ヶ月) = 666.7(万円)と受注した単価を割る模様だ。

こういう制作業界がみなし残業になる理由(本題)

机上の計算からアニメ制作会社の年間売上を推定した所で本題といこう。こういう制作業界がみなし残業になる理由は、契約一定の額で制作を請け負う形になり、その額を社員(複数人)に割り振る形になるからだ。会社側は固定費として足がでないようにしたいため、業務委託や歩合制と言った都合の良い労働契約(詳細は労働基準法を参照)を社員に吹っかける形になる。冒頭の16%(800万円)の話でもそう。広告代理店テレビ局サイドは頭が大変良く、肝心な作業を安く押し付け、残りの84%(4,200万円)を形で制作会社を利用する訳だ。

程々に嫌いな奴な方が、長く働く上で向いているかも?

ともするとこういった会社だと、残業を顧みず沢山働いてくれる人を欲しがるはずだ。求人広告の「○○が好きな人」と言うのは、残業して給料が出ないけど大丈夫ですか?と言う意味と言っても過言でない。

id:TM2501さん 何が問題かというと、コンテンツ系は安かろうとハードだろうと「好きでやっているんだろう?」と偉くなるまでそれを当たり前にされちゃうこと。いや、偉くなっても資本家から買い叩かれちゃうこと。構造的欠陥

id:Arturo_Ui さんところで奴隷は嫌々働いてるから「程々に手を抜く」ことを学ぶもんだけど、「仕事が好き」という使命感だけで続けてると、却って歯止めが利かなくなるのかもしれない。

とこの方々の指摘通り、社員コンテンツが好きな事を会社に利用されてしまんだよな。さて自分は「程々に手を抜く」ではなく「程々以上に手を抜く」人間だった(笑)。かつてソーシャルゲーム会社仕事していたが、残業代が出ないから、大変な仕事は敢えて受けず、デバッグだけやって定時に上がっていたものだ。それでもって上司退職を迫られたとき「周りが残業してるから残業しろ」と言われた。空気を読まない自分であったが、過労死で倒れなかったから今があると考えると辞めて良かったと思う。

究極の理想

無論こうした業界制作で働く場合は、制作手法を覚えて独立コミケ同人誌ネタ探しなど自分で稼ぐ勉強として働くのが良さそうだ。要は好きに流されず、自分目標みたいな物を持っておくとよい。

一方で会社としての理想論を言うならアニメ制作で余った人員を、キャラクター原案などを担当させたり、CGM(Consumer Generated Marketing)など最初広告費がかからない案件などに回す。上手く当たれば初音ミクのようなブランドが登場すれば、既存広告媒体から独立する事が可能となる。いずれにせよ自分自身で利益を生み出せるように持って行かないと、下請け産業はきついと思う。

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