2013-05-20

完成ドリームハウスにみる、家の建て方

みなさんも記憶に新しい、崖の家とガラスの家とが、あまりにも見事な典型例だったため勢いで書く。

まず、そもそもの前提として、普通場所普通の家を立てるのは、

小市民的には夢のマイホームであっても、TV的には何のオモシロミも無い。

というわけで、(ドリームハウスドリームハウスができあがるのはなぜか http://d.hatena.ne.jp/lastline/20130430/1367305630 )で挙げられているように、ドリームハウスでは概ね3パターン地獄への道が敷かれている。

崖の家

崖の家は、典型的な「無茶な立地」だ。

前記のブログでもある通り、コレが一番なんとかなる可能性がある。

立地が変態的なだけで、それ以外は普通ドリームからだ。

実況スレでも概ね「奥さんがビッチっぽいこと以外は良いな」という評価だった。

お宅訪問時の奥さんの満足そうな表情と、旦那小市民的な挙動が、末永く幸せそうで何よりだと思う。

(尚、2chでは「ビッチ≒俺達とは相容れないタイプ女性」くらいの意味

完全な布基礎だったらアレだろうが、繋いであるしキッチリ設計されている気配がする。

そしてコレが重要だが、崖の家向かって左側の家は鱗のような壁であり、正面向かいの家の駐車場には薪が積んである

まり、この辺り一帯が趣味人の家であり、外壁が杉板でもまったく浮かないことが予想できる。

伝説の「借景の家」とは異なり、この立地で海や日の出を遮るような建物を立てるのは相当に困難だ。

良い家だと思う。

何か忠告するとするなら、玄関先には紫陽花を植えた方が良い。

空き地時代には、道路沿いに見事な紫陽花が咲き近所の人の目を楽しませていたと思うので、

拘りがないなら植えといてご近所付き合いのキッカケにすると良いんでないかな。

家は独立して存在するが、地続きの周辺環境との調和で完成する。

(まあ、シーランチ・コンドミニアムを建てたいと望む施主なら、感覚で理解している気もする)

ガラスの家

ガラスの家は、典型的な「無茶なドリーム」だ。

建築家に責を求める声が実況スレにも多かったが、これは責められない。施主に問題がある(断定)

建築家の責としては(「無茶な建築家」要素が関連するが)、設計してしまった事だと思う。

つーか、ぶっちゃけどうなるかやってみたかったんでないかな。

あのガラスの家を酷評する前に、一旦ドリームハウスの事は忘れて、次のような想像をしてみよう。

(尚、風呂キッチンなどの内装も忘れて欲しい)

  1. 極小規模の美術館
  2. 建築設計事務所
  3. レストラン

どうだろうか。施設としては、無くはない形状ではある。

では、これらに共通の要素はなんだろうか?人が定常的に住まない?それはそうだろう。

一番大きいポイントは、「通常、外履きで歩きまわる建物である」というところ。

あれは、「外からやってきて、一時的に滞在して、また出て行くタイプ建物なのだ


それがよく分かるのが、床だ。

法律木造住宅の基礎の立ち上がり(地面から木を置くとこまでの距離だと思いねえ)が30cm以上と決められてるのには理由がある。

基本的には、土台の腐敗を防ぐのが目的だ。木が腐るのは湿気だ。地面からの湿気と雨水な。

まり、あの家はどう考えても梅雨時に床がシットリする。

床に直接本を重ねて置いとくと、下から波打ってきちゃうタイプ建物だ。

ただまあ、住めないわけじゃない。

普段から靴で生活するとか、ホームパーティーバンバンやったりするタイプ家族が住む可能性はある。

そもそも「床に本をおいておいたら波打った」とか「梅雨時にフローリングがしっとりしてる」とかは、経験ある人も居るだろう。

それが住環境としては致命的だ、ということじゃない。

どういうことかというと、それぞれの要素に対しては回答があるのだ。

外壁のガラスは、ビルなんかでよく見るカーテンウォール(建物を支える壁ではなく、全部とっても家が崩れない壁)だろうし、高層ビルなんてな全面ガラスってのもよくある。

平屋建ても大開口もソコソコたってるし、天井配線だってまあまあある。

それぞれの要素要素で見ていけば、ありえなくはないし、一般家庭以外ではおなじみの作りもある。

じゃあどういうことなのか。

問題は、環境にある。

番組を見ていた人は思い出して欲しいのだが、崖の家にも「大開口」は付いている。3m近い巨大な窓だ。

あれに違和感がないのはなぜだろうか。

当たり前だが、あれは風景を見るための窓だからだ。

メリットデメリットが明確で、視聴者感覚的に理解できる。

あの窓に対して、「特注だろうし割れたら高くつく」とか「夏場は暑い」とか「結局カーテンつけっぱになるだろ」なんてのはナンセンスだ。

翻って、ガラスの家はどうだろうか。

何を「見る」為の大開口だろうか。何を楽しむための大開口だろうか。

あの環境下で、あのガラスの家は、周辺の住民にとって完全な罰ゲームだろう。

ビニールハウスイチゴ栽培始めましたっていうほうがインパクトは小さい。

家は独立して存在するが、周辺環境も込みで完成するのだ。あれは、あの場所に建ててはいけないタイプ建物なのだ

一族が所有する絶海の孤島に、森を感じられる建物としてあれが建っているのであれば、なんかの賞は取れるかもしれない。

埼玉県桶川市内に建ててはいかんのだ。

家を建てるなら

周辺環境を忘れてはいけない。

蛇足

あのガラスの家をどうにかしようと思うと、相当難物だ。

もし自分があの物件をタダで手に入れて、しばらく住もうとするのであれば、レンガの塀を作ると思う。

高さ1.2mのギリギリサイズの赤レンガの塀で周囲グルっと囲み、ツル性の植物を植えて回るだろう。

芝生のままでも良いが、普通に造園業者に入ってもらって、築庭すると思う。

周辺から視線を完全に遮った上で、庭の緑を楽しむ家としてなら悪くない。

ロール網戸を付けるような建物にはなってないから、エアコン代は屋上に太陽光パネルでも載せて足しにするか。

台風の度に大事になるだろうが、ま、沖縄店舗なんかも似たようなもんだ。

水没するのは恒例行事ぐらいに思うしか無い。

正直、あの家って、紅花の咲く頃に愛人と一緒に長期滞在する別荘ぐらいしか使用方法が思いつかんのだよな……

まあ、売りに出たら愛人がいる人はご一考を。

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