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金曜の夜のこと。週末独特の皆が逸る気持ちを押し殺すような空気の中で昭和通りを秋葉原から草加方面に走らせていたんだ。
ちょうど上野駅前の交差点に差し掛かった時、車道に人が倒れているのが目に入った。
はっきりとした原因はわからないのだが、自転車とともに道路に倒れこみなかなか起き上がれないでいる様子だった。
上野駅前の交差点といえば、手前まで続く路駐が原因で実質2車線に限られていたところから、ゆるやかなカーブを描きつつ3方向に向かって突然車線が開けるために、流れ方次第では結構な速度で車線変更を強いられる難しい交差点だ。
やっかいなのは交差点を少し進んだ先にある右折専用車線で、道を知らないドライバーが無理やり車線変更をしてくるような場所でもあり走っている方としてはかなり神経を使う場所なのだ。
どんなドライバーたちの神経がピリピリと高まるような場所で、その人は上野公園に向かう左折車線の左から2番目に倒れこんでいた。
その時の信号は赤で、倒れている人の前には一台の車が止まっていた。倒れている位置がその車の真後ろであったため、その車にぶつかったとは考えづらい。
ドラマにもよく使われるような大きな歩道橋を持つこの交差点は車道を無理やり横断する自転車が少なくない。
恐らくは左折車線を横切って横断しようとしたところを、黄色信号に飛び込んできた左折車に後輪をぶつけられるかしたのではないだろうか。
倒れた人にいち早く気付いたのは自分で、後続車に轢かれてしまわぬようまずは倒れている人の後ろに車を止めてハザードをつけた。
それとほぼ同時に前に停まる車数台から人が降りてきて、あれよあれよと倒れた人を具合を気遣いながら自転車と一緒に安全な場所へと退避させてしまった。
そのうち一人は既に携帯電話を片手に通話を始めていて、おそらくはどこかに通報していたのだろう。それはつまりこれから先の数時間をここで過ごすことを意味しているのだ。
皆スーツや作業服を着ていて、恐らくはすぐにでも家に帰りたい気持ちでいっぱいに違いないのに。
あまりの手際の良さに、道のど真ん中を塞ぐように停まっていた自分は役目を終えたようにその場を後にすることしかできなかった。
時間で言えば信号が赤から青に変わるまでの間だったのだから、ほんとうに一瞬の出来事だったのだろう。
東京のどまんなかで実に東京らしい速度で処理される心温まる瞬間に出会えたような気がして、なんだか得した気分になってしまった。
つい先日、YOUTUBEで”ロシアの優しい運転手”という動画を見た。
老人が横断できずに困っているところを車を降りて手伝ってやったり、雪で立ち往生している車を牽引して助けてやったりするようなシーンが集められた動画だ。
感動的なコメントが寄せられる中、ロシアでそういう場面が多いのは単純に交通整備が遅れているからじゃないかと素直に受け入れられない自分がいたんだ。
しかも気になったのは、大体が助ける側の車載カメラの映像だったということだ。
日本にだって心優しいドライバーが沢山いてだけどわざわざ自慢するように動画を共有したりはしないはずだと、モヤモヤするような気持ちをひきずっていた中での出来事だったので本当に誇らしく思えてしまった。
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果たして生き残る道はあるのか、と。
同社はジャネット・ロビンソン社長、サルツバーガー家が筆頭株主で、ボストン・グローブとインタナショナル・ヘラルド・トリビューンなど高級紙を抱える。
購読層が比較的裕福で、かつ知識階層であるため07年までは広告収入がよかった。インターネットとU―TUBE全盛を迎えるまでは。
2007年、NYタイムズは新社ビルをNYのミッドタウンに建て、周囲を睥睨した。工事費は6億ドルだった。
98年から2004年にかけては自社株買い。高度成長と広告費ののびを背景に自信満々おこなわれ、27億ドルを投じた。
これが完全に裏目に出た。
2003年にはワシントンポストと共同経営だったインタナショナルヘラルドトリビューンを完全に子会社化するため6500万ドルを投資した。ヘラルドトリビューンは依然として赤字である。
この結果、同社は赤字体質が恒常的となる。
09年末に9900万ドル、2010年に2億5000万ドルの長期債務の期限が来る。
短期借入金は、この他に3億8000万ドル。このため新築ビルを売却し、社員を減らし、あいたスペースを賃貸にし、そのうえでメキシコの大富豪カルロス・スリム・ヘルから2億5000万ドルを年利10%の高利で借りてしのぐ。カルロスはすでに同社の6・4%の大株主でもある。
また所有球団「ボストン・レッド・ソックス」の売却も視野に入れている。
▲多角経営は負担になってきた時代の変化
米国に限らずマスコミはネット時代になって、活字媒体ならびに地上テレビ局は極端に広告が落ち込み、どの企業も社員削減、経営効率化、不採算部門閉鎖、ネット部門強化などを打ち出したが、時間的に対策は遅かったのかも知れない。
NYタイムズは、08年売り上げが14・2%のダウン、07-08年で19・5%の減収を記録した。
NYタイムズ社の陣容は1300名の社員と2億ドルの予算、米国有数である。しかし近未来の明確な経営ビジョンを描けないのだ。
日本の大手マスコミが参考にしてきた「マスコミ産業」というビジネスモデルも地殻変動的に破綻を迎えた。
ネット配信による広告収入はたしかに増大しているが、NYタイムズ全体の、まだ12%をしめるに過ぎず、かといって一旦無料にしたネット配信のニュースをふたたび優良に戻ることは無理がある。
保守の名門・老舗ウォールストリートジャーナルとて、ニューズコープ社のマードックに買収(07年に56億ドル)されて以来、紙面をタブロイド版にし、経済ニュースばかりか社会ニュースを激増させた。
そのうえで、ネット配信ニュースを無料とした。理由はネットの広告料が増えれば、全体的なメリットがあると計算したからだった。
このような環境変化によりニューズコープは08年第四四半期に64億ドルの赤字に転落した。系列のフォックステレビさえ広告収入が劇的に落ち込んだ。
▲「USAトディ」のガネット社も大変だぁ
米新聞大手グループのガネット社は五日間の無給休暇を導入した。
同社は最大手「USAトゥデー」など85の新聞を発行し、23局のテレビを経営、総従業員はおよそ三万人強。全米マスコミ最大である。
無給休暇を2009年1―3月期中の取得を義務付けると同時に、もし休暇取得を拒否した場合にはレイオフ(一時解雇)の対象になる措置をとった。
すでにガネット社は08年12月に傘下の新聞社で約10%の人員削減を決めた。広告収入の大幅な減少が原因である。
にもかかわらず売り上げ減退に歯止めがかからないため、コスト削減を一段と進める。
一方、会社更生法を申請したトリビューンは、主力の「シカゴ・トリビューン」をタブロイド紙面として、再建を目指す。ただしタブロイド版は、駅売りに限り、宅配サイズは従来通りの方針という。
オバマ大統領の地元はミシガン州。その地元大手マスコミ、「デトロイト・フリー・プレス」と「デトロイト・ニュース」は毎週月曜日から水曜日の配達を中止し、インターネットで配信する方針を固めた。
両紙は広告が集中する木・金曜ならびに日曜版に配達を限定し、ネット版は無料で閲覧という措置をとった。
デトロイト・プレスは発行部数30万部を誇り、全米で20位の有力紙だがビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)の販売不振など、地元の自動車産業からの広告が激減。
かくして米国マスコミ産業は急速に業界の淘汰・再編が進んでいる。
シカゴ・トリビューンは08年に不動産王のサミュエル・ゼルが買収し、創業家の経営支配から脱却、従業員による持ち株方式に切り替えていた。経営の効率化を急ぐゼル会長は本社ビルの売却も表明していた。
TIMEとならぶ全米週刊誌の雄は、NEWSWEEK(親会社はワシントンポスト)だ。
ところがNEWSWEEKも、07年末に310万部発行部数と豪語してきたが、09年2月現在、なんと260万部に激減し、09年には190万部、2010年には150万部に落ち込むと予測される。
定期購読者が120万人、これが同誌の鉄票。駅の売店では4ドル95セントだが、定期購読にすると一部たったの47セント。
NEWSWEEKは、編集方針を変更する意図はないがサイズを変更し、写真頁を増やすという路線変更を考慮中と言われる。読者対象を特化し、豪華な広告を増やしていく方針も漏れてくるが、そんな対応だけで、このマスコミの危機を乗り越えるのは難しいのではないか。
個人的なブログやSNSでの日記などを読めば読むほど、対面コミュニケーションでは感じ取ることが出来なかった、あるいは見落としていた、その人の輪郭が見えてくることがある。
それは、取り上げる話題、それに対しての綴り方、またレスポンスなどの文面から伝わってくる。
使う言葉、常用漢字以外のものや、カタカナ、アルファベット、絵文字という目にする文字からも伝わってくる。
文字の色、文字の大きさ、自分で撮影したとおぼしき写真、映像、自分で探してきたYOUTUBEなどの引用からも。
誰かに自分のことを知ってほしい、つながっていたいという極めて原始的な欲求を前に、全能感を与えるかの錯覚を抱かせるこのツールは、これまで手にしたいかなる道具より、人間との関わりについて考えさせた。
何気ないひとことが忘れられないという経験は誰にでもあるだろう。対面の場では気にも留めなかったような事柄、ちょっと符に落ちなかったり、ムッとすることや、後から思い出してその思いやりに満ちた言葉の真意に感謝することなど感情はいくつも生まれる。だが、それらは対面の場では基本、記録するということはなされない。
文章を綴ること、それは紛れもない自分をさらけ出すこと。その事実に今更ながらおののく。
知人、友人の綴る言葉に、思ってもみなかったその人となりを発見することがある。それが良い方面の意外性だと、好意を持つが、その逆もまた多い。
日記という体裁をとっているが、公開しているかぎり誰かの目に留まることを全く意識していない人などいないだろう。「こんな日記、誰も読むわけない」という甘い認識から炎上騒ぎは起きるのだろう。勿論意図的に炎上する方向へ持っていくデマゴーグも少なくない。
また会ったこともない多くの人たちのブログの更新が楽しみであったり、その人の書く文章に好感を抱いたりすることもある。
無限の場を提示しているブログが人民のアヘンとなったことは必至だったのだな。
知人、友人の日記をある程度の量をまとめて読むと、何もそのひとのことを知らなかったことに愕然とすることもある。
ブログを読んでその人を嫌いになってしまうこともあるのだろう。