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2020-10-21

世界の中心へ愛を叫ぶ

気がついたら、私の世界の中心はヤクルトスワローズだった。

スワローズファンの親元に産まれた時点でその運命は決まっていた。

抗えもせず、私は幼少時から野球のものを知る前にスワローズを知り、それを愛した。 

スワローズに夢中になり、故野村監督の全盛期から今に至るまで、シーズン中、私の気分の上下は、ほぼこのチームの勝敗に左右された。

そのこと自体はもう宿命として受け入れた。

『いきなりよわくなったりつよくなったり』のチームを、応援し続けて、今では殆ど選手が年下となっていた。

数少ない年上選手の中で、19年間神宮のマウンドに立ち続け、チームのために投げ続けてくれる石川雅規愛称カツオ)というベテラン投手がいる。

このコロナ禍で、今年開幕投手を務めた。

40歳開幕投手なんて、と他の球団ファンは思ったかもしれない。

他の球団には、もっと強くて勝てるエースがいるのだろうし、それは素直に羨ましい。実際石川は、華々しいエースというタイプではないだろう。

しか石川は、怪我人の多さでは他の追随を許さなヤクルトで、19年間ほぼずっとローテを守って投げ続けてくれてた。

長い期間にわたり淡々と、粛々と。それが石川だった。

しかし、今年は石川にとって辛い登板が続いた。チーム状況も目を逸らしたくなるような有様だ。

スワローズ勝利を』毎日そう願ってる。でもある日、石川登板する日に『どうかカツオ勝利を』と願ってる自分を見つけた。

今更気づいた願いは、石川と同期の五十嵐亮太投手引退を聞いてより切実となった。石川にはまだ投げ続けて欲しい。石川がいないヤクルトは、神宮は、それまでと同じではなくなるような気がした。(神宮が建て替え予定なのは知ってる)

私はここで初めて、自分世界の中心のスワローズの中心にカツオがいることに気付いた。当たり前のこととして、自覚していなかったけれど。

今年の石川の成績が振るわないこと、年齢的なこと、ヤクルトファンの中でも色々言われてるのは知ってる。それも現実

でも、この厳しいプロ世界では、どんな若手だって明日のことは分からない。

まり逆にいえば、石川は、まだまだこれから選手、の可能だってあるかもしれない。

選手応援の仕方なんて人それぞれだから、私は私なりの応援を続けたい。

19年経って、いつの間にか石川スワローズの中心にいる。

輝く一等星、流れ星、消えた星、現れた星、そんな選手達に囲まれて、北極星のように中心でずっと動かずに。

もう私の宇宙の中心までが石川になってしまっている。

野球選手の割には小柄な石川肩には、今までに去っていった選手の思いも乗っている。ずっとみんなの背中を見送る側だ。

本当なら、その全部を降ろして神宮のマウンドから下り仕舞えば、その方が楽なのかもしれない。

でも私は、石川にはまだ去って欲しくない。

当たり前のこととして、来年神宮の『カツオの日』を眺めていたい。

ともすれば、マウンド上で迷子になりがちな若手投手陣に背中を見せ続けて欲しい。

ずっとスワローズを守り続けた石川雅規を、まだまだ誇らせて欲しい

ここに来て私は、カツオへの強い想いを自覚したので、勝手に一蓮托生でいようと決意した。

カツオヤクルト入団した時から、これはもう宿命みたいなものから

勝てる時も負ける時も、最後の日の最後の一球まで添い遂げる覚悟だ。

願わくば、その日ががまだ先でありますように。

どうして急にこの感情が湧き出したか本当に分からない(ほぼ五十嵐のせいな気はする)。こんな押しつけがましい愛を、もちろん伝えられる訳ないので、ここに溢れるままに書いた。これで少しは落ち着けるかなと思う。

今夜も、神宮の中心にカツオは居た。

から

今夜も、私は世界の中心へ愛を叫ぶ。

 
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