2024-05-27

アベノミクス10年における労働者にとってのファクト

2024年5月26日時点において、以下の全ての項目が手に入るようになる2005年鳩山民主党政権発足(ただし年末のため実質的には稼働の前年)の2009年安倍自民党政権発足(ただし同様に実質的には稼働の前年)の2012年、最新のデータが取れる2022年、の労働賃金に関わるファクトは以下のようになる。2012年2022年を比べることで、丁度アベノミクス10年の動きを見ることができる。

2005年 2009年 2012年 2022年 
実質GDP 511.9兆 490.6兆 517.9兆 548.4兆 
就業者数 6553万人 6565万人 6490万人 6831万人 
平均労働時間 1819時間 1754時間 1781時間 1653時間 
労働生産性 4296 4261 4480 4856 

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2022/tables/2022fcm1rn_jp.xlsx

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2022/tables/2022s3_jp.xlsx

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/hours-worked/tables/2022hw_jp.xlsx

労働生産性=実質GDP÷(就業者数×平均労働時間

2005年 2009年 2012年 2022年 
受取雇用者報酬 
(うち賃金・俸給) 
260.6兆円
(226.4兆円) 
253.8兆円
(219.3兆円) 
251.7兆円
(215.1兆円) 
295.4兆円
(249.9兆円) 
国民所得 390.7兆円 349.0兆円 359.2兆円 403.2兆円 
労働分配率 66.7% 72.7% 70.1% 73.3% 

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2022/tables/2022i12_jp.xlsx

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2022/tables/2022a2_jp.xlsx

労働分配率=受取雇用者報酬÷国民所得

2005年 2009年 2012年 2022年 
民間平均年間給与  
(中央値) 
436.8万円 
(372.0万円) 
405.9万円 
(344.6万円) 
408.0万円 
(349.9万円) 
457.6万円 
(392.8万円) 
平均労働時間 
(一般政府非営利団体を除く被雇用者) 
1839時間 1762時間 1776時間 1662時間 
時間当たり賃金 2375円 2303円 2303円 2754円 
最低賃金 668円 713円 749円 961円 
平均年間給与中央値レシオ 1.174 1.178 1.166 1.165 
平均賃金最低賃金レシオ 3.791 3.426 3.264 2.790 
消費者物価指数 
(持家の帰属家賃を除く総合) 
93.8 94.3 93.2 102.7 
実質賃金 2532円 2443円 2471円 2681円 

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/xls02/m03.xlsx

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2022/tables/2022s3_jp.xlsx

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/23/backdata/02-03-25.html

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200573&tstat=000001150147

民間年間給与中央値線形補完による

実質賃金2020年時間当たり賃金実質賃金が一致するように基準

ファクト

2012年から2022年にかけて労働生産性は8.4%上昇した。(4480→4856)

また、労働分配率は3.2pp上昇した。(70.1%→73.3%)

労働者が技術獲得を怠り労働生産性が停滞する様子も、企業けがその果実を手にして労働者への分配が行われないという様子も見られない。

平均労働時間の減少が顕著である

最低賃金28.3%と大幅に上昇した。(749円→961円)

格差の大きさを表す指標である、平均年間給与中央値の何倍あるかという値はほぼ変わらず。(1.166→1.165)

また同じく格差の大きさを表す、平均賃金最低賃金の何倍あるかという値が低下。(3.264→2.790)

考察ファクトではない)

労働生産性と労働分配率が共に高まったのに平均賃金の伸びが弱い理由として、平均労働時間の減少が大きいことがあると考えられる。主たる生計維持者でない者や定年後の短時間労働者の増加により、シンプソンのパラドクスが強く表れているのではないか

週5の8時間労働を続けているような、労働時間が変わらない人では実質賃金が1割(+定昇分)ほど増えている可能性が高い。

アベノミクストリクルダウンに重点を置いたものだとそもそも思わないが、労働生産性上昇での富が労働分配率上昇で滴り落ちる、ということは起きていたのではないか

GDPの速報値から2023年労働分配率は70%程度への低下が見込まれる。これは不況でない時としては依然低い数字ではない。

anond:20240526091021

  • 米や中や韓、独や印は同じ期間でどれだけ経済成長できたんだろうな〜 上流層の懐がいくら温まっても底辺層に入るお金が増えないとたいして意味ないと思うんだけどな〜

    • 韓国のようにキャッチアップ中の国はともかく、アメリカやドイツよりも生産年齢人口当たりGDP成長率は日本の方が上だから、経済政策としては日本の方が上手く行ってたでしょ。始ま...

  • じゃあ何すか ハマコー先生は実際の給与統計も見ずに語る知ったか野郎だったって事すか

  • リフレガーとあれだけ言っているのに、全く反論できないんだ

  • 円で言われてもわからん。GDPはドルで書いてくれ。

  • https://b.hatena.ne.jp/entry/4753976912302984128/comment/wxitizi   労働分配率はコロナ期に企業が利潤を削って雇用者報酬に回したので上がった分もあるでしょう

  • Q.どうして実質賃金指数(毎月勤労統計)を使わないの? A.①毎月勤労統計は統計不正問題によって過去との整合性が完全ではない ②毎月勤労統計は本系列と共通事業所系列で動きが...

  • 鳩山政権からの3年のGDPの伸びとアベノミクス10年の伸びがほぼ一緒やないか

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