2023-12-16

目玉焼き、それは黄身の魅力も白身の魅力も最大限に引き出す卵料理

世の中に卵料理は無数にあるが、ここまで卵の魅力を引き出している卵料理は他に類を見ない。

黄身の魅力と白身の魅力は明らかに違う。レバータラ白子のようにこってりと濃厚な黄身は味覚を最大限に刺激する。

一方で白身は保水性が強くプルプルの触感は触覚を最高に楽しませる。

さら白身は焼くことによってできる焦げの香ばしさが、嗅覚を刺激して楽しませる。

目玉焼きは味覚、触覚、嗅覚のいずれをも素材によって刺激する最高の調理法と言える。

黄身と白身。どちらも美味しいものなのだが、何の因果かこの二つは混ぜるとお互いの魅力を殺してしまう。

水分が多い白身は濃厚な黄身の味を薄めてしまうし、低温で固まる黄身は白身弾力性を殺してしまう。

からこの二つを混ぜてしまオムレツ卵焼きスクランブルエッグはそれぞれの魅力が平均化されて黄身の濃厚さも白身弾力もどっかにいってしまう。

黄身の濃厚さを生かしている料理といえば、味噌漬けカルボナーラだ。

世の中にはシチューの素を使ったカルボナーラといった得体のしれないものが出回っているが濃厚な卵の黄身こそがカルボナーラの魅力であると私は思う。

黄身の濃厚さはしっかり生かし切っているものの、白身が全く登場しないのがこれらの弱点である

和製カルボナーラとも呼ばれる釜玉うどんには白身が入っている。単純な料理だけに素材の魅力は引き出しているが卵焼きと同様に白身の水っぽさが濃厚な黄身の味を薄めてしまう。たまごかけごはんしかり。

白身のプルプル感を生かしつつ、黄身の濃厚さを楽しめる料理にゆで卵とポーチドエッグがある。

この二つも単純な料理法で茹でることで白身の保水力を生かしてプルプル感を強調しているし、温めることで濃厚な黄身の味は強くなる。

香辛料を使わず嗅覚も刺激する目玉焼きがいなければどちらも最強の卵料理の座が狙えたはずだ。

さて、ここまで話したところで最高の目玉焼き仕様を考えてみたいと思う。

目玉焼きの焼き方は大きく分けて片面、両面、蒸し焼きの3種がある。それぞれの特徴を簡単にまとめると、

・片面:焼くのに時間がかかる。見た目が白と黄色で美しい。白身カリカリ感が強い。

・両面:焼く時間が短縮できる。両面が香ばしくなるが片面や蒸しのカリカリ感というよりは表面が香ばしくなる

・蒸し:焼く時間が短縮できる。白身のプルプル感が増す。黄身の表面に膜がはる。

黄身の濃厚さ重視なら片面、時短白身の香ばしさ重視なら両面、時短白身のプルプル感重視なら蒸しだ。

また、黄身の火の通し方には以下の3つがあり、白身はちゅるちゅる感を残すがプルプルにするかに分かれる。

レア:黄身を真上から崩したときに液状になって流れ出す。温まって生卵より濃厚さは増すがミディアムほどでない。一番美味しい部分が皿に流れてしまう。

ミディアムレア:黄身を真上から崩したときに液状部分があるが黄身の上部の中で収まる程度。水分が抜けて濃厚になっている。

ミディアムゆで卵の黄身ほど火は通っていないが形がほぼ固まっている。水分が抜けて濃厚になっているが下の方がややパサつく。

ウエルダンゆで卵の黄身に近い触感。水分が抜けているがタンパク質が変質して舌に絡みにくくなり濃厚な味を感じにくい。

以上を踏まえて勝利条件を以下に設定する。

・黄身が濃厚なミディアムレアミディアムに焼く【優先順位1位】

白身カリカリにする【優先順位2位】

白身表面はプルプル感を重視して生の状態を残さない【優先順位3位】

勝利に導く目玉焼きの焼き方

黄身の濃厚さが優先順位1位なので焼き加減がコントロールしにくい両面焼きを却下

蒸し焼きにするとカリカリ感が薄まるので片面焼きをチョイス。

黄身の内部にゆっくり火を通すので強火厳禁。卵はできれば常温がいい。

油がフライパンの表面に均等に広がってカリカリ感がアップするので鉄フライパンおすすめ

ただし強火を使わないのでテフロンでも十分。コーティング死んでるくらいがちょうどいいが熱伝導率が高いアルミなので焦がしすぎないように注意。

(1) フライパンを余熱して油を投入する。軽く揚げるイメージで多めに(大さじ1くらい)入れて熱する

(2) 卵をできるだけ低い位置で割る。白身の半径が小さくなるのと黄身の物理ダメージが小さくなる

(3) 弱火で7分から8分程度、白身カリカリになり、黄身の表面の反射が弱くなるまで焼く。

味付け:

塩と味の素おすすめ。卵と味の素の相性は異常。白身と黄身のコントラストも生かされる。

特に臭みの強い素材ではないので白身香ばしい香りを消さないように胡椒は使っていない。

完全に好みの世界なので好きにしたらよいと思う。

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