むしろ、付き合った年上の男の人にはご飯やホテル代をを奢ってもらって生きてきた。
自分はいつか、経済的に恵まれた男の人と結婚するのだと信じて疑っていなかった。
私は、絶対に、愛よりお金だと思っていたし、それと同時に、きっと自分ならばその両方を手に入れられると信じていた。
彼と出会うまでは。
出会った時の彼はそりゃあもう魅力的で、一瞬で好きになった。
記憶にある最初の夜は、ひどく深夜で、初めて訪れた街であったから、きっと緊張による吊り橋効果なるものもあったのだろう。
その夜は、何も間違いが起きなかったけれど、ずっとドキドキしていた。
それがいけなかったのかもしれない。
間違いが起こるのが遅すぎた。一晩で終わっていたら、きっとこんなに長続きしていなかったかもしれない。
二人で一緒に生きていくにあたって、彼の経済力が、想像以上になかったのだ。
精神的病によって働くことができない三十路近い彼は、生きていくための日銭を稼ぐのに必死だ。
その一方で大学生の私は、若さがゆえに体力があり、気力があり、夢と希望がある。
私に与えられた選択肢は3つしかない。ヒモとして一緒に生活するか、離れて暮らすか。別れるか。
離れて暮らすと、きっと会えるのは年に4回程度だろう。
耐えられなかった。それくらい好きになってしまっていた。
でも、恐ろしいことに、
私だって本当は働きたくない。生きるために働きたくない。
そもそも私は学生だ。好きなことをするついでのような形でお金をもらいたい。私だって。私だって。私だって。
「君のためならば何処へだって行ける」
「君のためならばどんなことだってできる」
「俺が扶養してあげる」
そんなことを言ってくれる人が、この世界のどこかに存在していると信じていた。
でも、もう十分わかった。
売れない芸人時代を支えた彼女は、男が売れた途端に捨てられる。
本気で好きだと伝えるような女は高確率でナメられる。
世知辛い世の中になりましたね。
彼は、家賃の一部を負担しようかとおまけ程度に何度か提案してくれたけれど、
別にそんなことしなくて結構です。全額払ってくれるんじゃないのなら、半分の額だっていりません。
3割?ふざけないでください。そんなの、逆にいりません。
あなたは、だいぶ、わかっていない。
2人のページを2人で紡いでいたのではなくて、
私のページに、
あなたが登場していただけということに、
あなたが気づくことを。
なんか最後らへんが、好きな人に向けて放つ言葉には見えないけど。 これはあれか、自分に言い聞かせているのか