田中社長含む経営陣への報酬内示がきっちりしたもの(正式決定と思われても仕方ない)であったということ。
報酬や意思決定については機構の自主性に任せるべしという方針は途中まで経産省側にも共有されていたということ。
田中社長を招致したのは糟谷官房長であり、経産省のなかではもっとも田中社長よりだったということ。
ということで、構図としては官邸の意向を受けた嶋田次官および世耕大臣が翻意して抵抗する糟谷氏を押さえつけて方針転換したということだろう。
そこで疑問なのは経産省がなぜ妥協点を探らずに民間取締役総辞任というハードランディングを選んだかだ。
議長の坂根氏は財界の大物で長年政府で要職を得ている政権にも近い人だし(少なくとも安倍首相と複数回は会っている)、星教授はアメリカにおける日本経済の大家で、週刊誌やブログで喚いてる三流自称経済学者とは違い本物だ。冨山和彦はここ10年における企業分野におけるNo.1のオピニオンリーダーであり官邸会議の常連だ。田中社長だって、MUFGの元副社長ともなれば無下に切れる人ではない。
これだけの大物たちに恥をかかせたことは今後の経産省の立ち位置を危うくするものだろう。
富山氏や星教授がいうならと他の学者や実業家もそっぽを向くリスクだってある。いよいよ日本政府はアカデミアや産業界から信頼を失い、孤立無援となるだろう。
それでも経産省が守りたかったものは何か。世耕大臣のポスト安倍の芽か、経産省幹部の忠犬根性か。
私には理解できない。