2018-08-12

姉が帰ってくる。

姉の話をする

初めに、俺は姉と二人姉弟で、年齢差は3歳差だ。

俺たちは自営業の親のもとに生まれて、今は親父の仕事を俺が継いでいる(とはいえ親父もまだ現役である

田んぼに囲まれた片田舎で、通学はバス通学。

車はおろか車輪のつくものを持っていなければ街にもいけない。

近所の子供は両手に収まるくらいしかいない上に同級生は1人だけ。

そんな田舎で俺達は伸び伸びと成長した、と思う。

俺と姉は割と姉弟仲が良く、遊び相手としてはちょうど良かった。

姉はなんだかんだで弟である俺に甘く、喧嘩はすれど結局は譲ってくれることが多かった。

から俺も結構姉に甘えていたんだと思う。

ちなみに、反抗期対象は姉だった。

何かと姉の言動が鼻に付いたのだ。

姉は、弟の俺が言うのもなんだが、そんなに頭がいいわけでもなく(一緒に公文式をやっていた)、俺よりも字が汚く(同じ習字教室に通っていた)、俺よりも運動ができなかった(同じ武道をやっていた)。

言ってしまえば、姉が何かで表彰されるたびに、俺がその一段階上の賞をとってしまったり、身体能力を上回ったりした。

そして何より、姉は、ゲーム音痴だった。

から多分、当時の俺は見下していたのかもしれない。

姉の優しさに甘えて、姉の言動に一々噛み付いていた。

しかけてくる姉に、苛立ち、ドジをする姉に虫唾が走り、それでも朗らかに笑う姉にどうしようもなく腹が立った。

その頃の俺は中学生くらいで、生徒会をやったり、部活をやったりと忙しく駆け回っていた。

一方の姉はといえば、第一志望の高校に落ちて、県立の進学校へと通い、中学時代は学年10位以内をキープしていたのとは反対に、学年のワースト10から数えたほうが早いという堕落しきった学校生活だったのだ。

からそんな姉に、たぶん矛先が向いたのだろう。

そんな姉への反抗期は、俺が姉の落ちた高校に受かり、姉は短大へ進学したあたりで収まった。

気付けば、俺は高校サボりがちになり、姉は短大バイト自分で立ち上げたサークル活動と忙しく駆け回る。

まるで正反対だと思った。

姉は、本を読むのが幼い頃から好きで、小中高と多読ランキングに名を連ねており、姉が進んだ短大も、司書育成の短大だった。

そんな姉は今、東京にいる。

嫁さんをもらって、親父の仕事を継いで、地元に腰を据える俺と正反対に、独身の姉は東京派遣社員をしながら飲食店バイトをしている。

姉の部屋は色々あり、既に物理的に存在がなくなって、今は、年に一度、実家の手伝いに帰ってくる。

ばかで不器用で鈍い姉は、土産センスだけは、とても良い。

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