相続に関する民法改正案、元の素案にまだあたってないからアレなんだけど、記事を読む限りあんまり意味なくないかなぁと思った。
多くの夫に先立たれた専業主婦の妻は、よほど稼いでいた夫を持っていた人以外は、世帯で受け取れる年金額もガクッと下がる。
そのような高齢独居長寿寡婦問題は確かに顕在化しつつあるんだけど、根本はキャッシュフロー問題なので自宅を確保したところで解決にはなりにくい。
家を売ってキャッシュ化するのは「長生きリスク」があるから難しいし、リバースモーゲージも適用できる地域は限られるし。
そもそも、家がある人はなんだかんだ多少であっても資金化できるわけで、高齢独居長寿寡婦問題は、むしろ自宅資産を持たずに過ごしちゃった人の方がより深刻だ。
相続人名義の家は自動的に残された配偶者のものになる、と言われても、現実では今のところは、
自分の取り分を厳密に主張して、配偶者を失った親から相続分を取り立てて住むところまで失くしてやろうとする子供はいない。
一次相続(親の片方が死んだとき)には、ほぼすべての大きな財産は残された親がそのまま継続保有するケースがほとんど。
もちろん余裕のある家なら子が財産を受け取るのも当たり前に起こってるけど、残された親が困窮するかもしれないのに財産を要求する子は、寡聞にして知らない。
相続税がかかる金持ち一家の場合でも、配偶者が継続居住する自宅へはかなり大きな税額軽減があるので、その軽減策を選択しない人はまず見たことが無い。
まぁ今のところではあるけど。
美しい国日本では、「夫を失って悲しんでいる母親から身ぐるみ剥いででも相続分を確保してやろう」と考える子や
「夫を失って生活基盤が揺らいでいる母親」を見捨てる子が当然になる、という判断を法務省はしているということなのだろうか。
まぁ親の老後の面倒を見る子世代も、そろそろ氷河期棄民世代に差し掛かっているので
「夫を失って生活に困窮する母親を物理的に面倒見きれない」層が増えるからというのもあるかもしれないが。こっちがメインかなぁ。