2017-10-25

怒れるおっさんをやっつけてくれた先輩

煽り運転なんかが話題になってて、その中で興味深い話がでてきた。

つねに怒りを溜め込んでいて何か発散するきっかけをいつも探し歩いている人間がいるというものだ。

そういう人間には理屈関係なくまともに付き合わないほうがいいという話だった。

それを聞いてなるほどと思った事件を思い出した。

あれは数年前、お店のイベントSNS話題になり店頭予測していなかった長蛇の列ができてしまったときのことだ。

開店20分ほど前から列の整理をはじめると、隣の飲食店前に停めてあった自転車を避けるように列が大きく膨らんでいた。

どうしようか考えた結果、うちの店先の前のほうが少しへこんでいたために、その自転車をうちの店先まで動かすことにした。距離で言えば10Mもないほどだ。

その後改めて列の整理をはじめ、これで問題なく開店が迎えられる。はずだった。

突然、隣の飲食店から出てきたおっさんに、「てめぇ何してんだこのやろう!」と言われがら足を蹴飛ばされた。

事態がわから唖然としているとおっさんさらに大声で言葉を続けた。

「人の自転車勝手に移動させて盗まれでもしたらどうすんだ!」

最初は何を言っているのか全くわからなかったが、どうやら店の中でご飯を食べながらガラスごしに自転車を移動させる一部始終を見ていたようだ。

から無理やり考えてみれば、それで視界から自転車が見えなくなったので盗まれたらお前の責任だといいたかったらしい。

突然の出来事にあっけにとられながらふつふつと恐怖と怒りがわき始めてきた頃、先輩が「何かございましたか?」と飄々とした様子で近づいてきた。

この先輩は、いつもは優しいながらルールにはものすごく厳しい先輩だ。

するとおっさんは同じような口調で先輩にも文句を言い始める。

「こいつが勝手自転車うごかしてくれやがって。盗まれでもしたらどうするつもりなんだ!」

助けてほしいと内心で願いながら先輩を見守っていると、先輩は思いもよらない行動を取った。

「それは大変申し訳ないことをいたしました。」

そういって深々と頭を下げてしまったのだ。

納得がいかないままその様子を見ていると、先輩は怖い目をしながらこちらに向いて言った。

「○○さんも謝りなさい。」

一瞬耳を疑ったが、先輩は相変わらず厳しい目でこちらを見ている。

「えっ?」と一瞬うろたえるも、先輩は再び「いいから謝りなさい。」と続けた。

それを聞いてふんぞり返るおっさん

なんで自分が謝らないといけないのかわけもわからないまま、「勝手に動かしてすみませんでした。」と謝った。

頭を下げながら悔しさと涙がこみ上げてきた。

そうして顔を挙げられないでいると、先輩は再び耳を疑うような言葉を放った。

「では、今度はうちの従業員に謝って下さい。」

突然の言葉に「はぁ?」とおかしな声を上げるおっさん

おっさんは怒りを露わに更に言葉を続ける。

「お前んとこの従業員のせいで自転車が盗まれそうになったのになんで謝る必要があるんだよ!土下座でも足りねぇよ!」

すると先輩は更に冷静な言葉で続ける。

「ですから自転車勝手に移動させてしまたことについては申し訳ございませんでした。我々は謝罪したのですから、次は従業員を蹴飛ばしたことについて謝って下さい。」

それを聞いておっさんさらに声を荒げる。

「ふざけんな!盗まれたらどう責任とるつもりだ!!」

すると先輩はそれに怯むどころかおっさんの方に歩み寄りながらさら言葉を続けた。

自転車は盗まれていませんよね。それなのに突然従業員のことを蹴飛ばしたのをこれだけ人間が見ています。それでも謝るのが嫌というならぜひ一緒に交番まで行きましょう。」

交番という言葉に明らかにうろたえるおっさん

かに自転車は盗まれていない。そして自転車勝手に動かしてしまたことについてはもう謝った。

となれば、おっさんわたしを蹴飛ばしたというあきらかに行き過ぎた行為けが残ったことになる。

躊躇するおっさんさらにずいと一歩踏み込む先輩。

大事従業員蹴飛ばされてはいそうですかで終わると思いますか?告訴状出してほしいのかここで謝るのか自分で決めて下さい。」

その一言おっさんは完全に沈黙

この上ないほどバツの悪い顔をしながらこちらに向かって「蹴飛ばしてすいませんでした。」と言うと、さっさと自転車を引っ張りながら帰っていった。

「あの、ありがとうございました。」

先輩にそう告げると、先輩は溜まっていた怒りを吐き出すように一言こういった。

「ああやって弱いもの見つけて理不尽を押し通そうとする人間が一番ゆるせない!」

そのあと大きく息を吐くと、こちらに向き直って更に言葉を続ける。

「何も説明せずに謝らせてごめんね。こういうときはどっちがいいかいか議論するより、まずは自分の悪い部分を先に謝ったほうが有利なんだよね。」

その言葉を聞いて、涙はすっかり鱗になって目からこぼれ落ちた。

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