2017-07-13

教養と無反応と

楽しい会食からの帰り道。最寄り駅を下りて構内を歩いていると、下りて通らなければいけない(けど下りていない)チャリとすれ違った。そしてすれ違いざま、僕の右手にカゴがヒット。痛っ!

チャリ無視して走り去っていくので「おいっ!」と呼び止めたら、止まって「アーン?」。相手ヤンキー風というか絶対ヤンキー女性推定23歳、顔はふつう、化粧濃いめ、職業不詳)。「なんか文句あんのかよ。文句あんだったら警察行こうぜ!」。こちらは一言謝ってくれれば「気をつけろよ」で済ますつもりだったのに、オイ本当に警察行くのか? こっちはくっきりアザができているし、その調子じゃおめえが今晩帰れないぜ? と思いつつ目の前の駅前交番へ行くと…。

もう彼女無責任と無教養に、怒りを通り越して呆れ果ててしまいました。あそこは自転車下りて通らなきゃいけないだろ?と言うと「広いからいいじゃん」「あんたが酔っ払ってぶつかってきたんだろ?」「(警官に)いきなりオイ!とかおまえ!とか言うから私怖ったんですぅ♪」。人にぶつかってもしれっと走り去る輩に、おとなしく「すみません」と言って止まるのか?

私悪くないですよねぇ~と言う彼女に、警官たちは「明らかに道路交通法違反ですし、交通事故ですね。被害者の方へ謝っていただいて、許していただければここでおしまいですが…」。すると「謝りません!悪くないもん」。

その結果、交番の奥の別室に連れていかれた彼女。しばらくは私は名乗らない、身分証なんかない、電話をさせろ、弁護士を呼べ、などと抵抗していましたが、このままでは今晩帰れませんよ、といわれ(一応扉を締めたけど丸聞こえ)悲鳴のような声が…。そしてわずか1分後、警官が「加害者が謝りたいと言っていますが」。えっ、急に? はぁわかりました…と言うと、別室から出てきた彼女はニヤニヤしながら「スイマセーン、ゴメンナサーイ」。

交番には6人の警官がいて、ひとり制服ではない年長の方が仕切っていたのですが、その年長さんがほら彼女は謝りましたよと。でもアンタ、人に謝るのになんで壁によりかかるの?と聞くと、彼女は「だって腰が痛いから」。オイ笑ってんじゃねえよ!と言うと「生まれつきこういう顔だし」。その顔には「やっぱこっちの勝ちだし」「早く帰らせろよこのバカ」などと創英角ポップ体で書かれていた気がするのですが、法という名の色眼鏡を掛けた年長さんには見えなかったようで。あの色眼鏡があれば僕もいろいろ平穏に暮らせるのでしょうね。

そして年長さんは「ここで引かないとあなたが厄介なことになる」という内容を、こちらの理解力や顔色をみながらじわじわと伝えてきました。僕の周囲を若手警官4人が無表情で取り囲み、彼女は後ろで高笑い。年長さんに「こんなに笑っていても謝ったことになるんですかね。僕にはそうとれないんですけど」と言うと、「つい先ほどまで謝らないと主張していたのに、ああやって言葉にしたんですから、強い謝罪意味があると思いますよ」。ツンデレ!そして言霊!  

僕が呆れてポカーンとしていると、年長さんは彼女を「奥で少し休んでください」と別室におしやってから、僕に向かって「世の中いろいろな器量の人がいて、いちいち腹を立てたらキリがないんですよ。ここはあなたが度量を見せるところですよ。私だって仕事で腹が立つことなかいっぱいあるし、プライベートでもそりゃありますよ。でもこらえるわけですよ…」。こういう文言警察マニュアルにあるんだろうな…と思うと、矛を収めてほしいのは仕事を増やしたくないあなた方でしょ?という言葉がノドチンコまで出ましたけどね。

この人たちと戦ってもそれこそキリがないので「ハイわかりました。でも僕はニヤニヤ笑いながら謝る人は絶対に許しませんよ」と言うと、険しい顔をしていた年長さんは一転して穏やかな顔で「気をつけてお帰りください」。若手警官たちにも「お手数をお掛けしました」と声を掛けましたが、彼らは揃って無反応でした。これもマニュアル通りの対応か…と思うと、途端に彼らが人ではなく犬に見えてきました。かわいそうな犬たち。明日交番ドッグフード差し入れようかしら。

  • 「明らかに道路交通法違反ですし、交通事故ですね。被害者の方へ謝っていただいて、許していただければここでおしまいですが…」 許してないんだからそのまま徹底抗戦で良かった...

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