日曜日。
妻はその付き添いで、
朝早くから出掛けている。
身支度をととのえ、
終点に着くと、改札の先で、
大学の後輩であり、
友人の妻でもある彼女が待っていた。
「ジムに行くって出てきました。
いたずらっ子のような表情を見せる彼女は、
少しも変わらない。
「うわ、日がたかいですね!」
ちょっとうれしそうに、声を上げる。
「じゃあね」と言ったら、
お互い振り向かないのが暗黙のルール。
妻も息子もまだ帰ってきていなかった。
引き受けよう、という気持ちになった。
私以上の適任はそういないのだろうが、
逡巡していたのだ。
私でよければ引き受けます。
家内に話したら『ぜひやりなさい』と怒られました」
即答しなかった言い訳に、
そのすぐ後に、どろどろになった息子を連れて妻が帰宅。
「ただいまー!」
「おかえり」
「ただいま。今日は何してた?」
「部屋の中でごろごろしてたよ。さっきからビール飲みはじめた」
妻は少しだけ非難の表情を作ったが、本気で怒ってはいなかった。
「これから夕ご飯にするから、○○(息子の名前)をお風呂に入れてあげて」
「了解!」
これはこれでうまい。
スポーツニュースをだらだら見ていたら、
メールの着信音。
「おつかれー。今どうしてる?久しぶりに会いたいね」
何てことのない文面の差出人は、彼女の夫、
1年以上連絡してないのに?
なぜ?
今日?
このタイミングで?
まさか……。
このメールにまだ返信できずにいる。