今回はとなりのヤングジャンプ
テーマを使いこなしている感が出ている。
単に普通の人間と違う設定のキャラクターを日常に配置しただけでは面白くならないからね。
凡百のキャラ漫画にありがちなこととして、異常なキャラクターがワイワイしているだけっていうのがある。
日常をそのまま切り取っても普通なのと同じように、異常なキャラクターが異常なことをするのもメタ的に見れば普通なので、そのキャラクターが浅いと読者はすぐに慣れて飽きてしまう。
なので日常と異常を馴染ませつつも化学変化を起こす舞台演出も大事なのだ。
今回は特に、「『アレ』がエスカレーターにある」という異常性に対して、やることが「清掃の人などに迷惑をかけるから『アレ』を何とかして掃除する」っていう地に足のついた理由なのが、可笑しさに繋がっている。
時おり演出としてキャラクターが原作の画風(ONE絵)みたくなるときがあるけれども、今回は個人的に一番好きかもしれない。
この画風になるときというのは、サイタマが意識の差だとか実力面からくる異常性による周りとの剥離を強調するときに使われていると私は解釈している。
サイタマ以外だとよくこの画風になるのはタツマキあたりだが、このことから強者の中でも特に異常な存在の象徴的演出といえる。
村田雄介の画力であえてやるからこそ、映えるし、不協和音として機能する。
今回のとか、もう雑コラでももう少しマシなレベルだよっていう位に3ページ目のサイタマが浮いている。
2ページ目が同じ構図でスイリューがまともに描かれているから尚更である。
そして遠まわしに、スイリューも十分に強者の異常性をもつにも関わらず、サイタマは一線を画していることが直感的に分かる。
WEBで読める漫画でクリスマスネタを扱ったものから、今年の個人的ベストを作ろうと思っていたんだけれども、意外にも数が少なくて選別するほどじゃなかったのでやめた。
雑誌も対象に含めるなら作れそうだけれども、さすがにそこまで手を広げてられない。
一応の暫定としては、ふんわりジャンプで読める『ありありアリスちゃん!』の「クリスマスのトラウマ!?の巻」が今年のクリスマスエピソードの中では特に好きかなあ。