いじめられっ子が現実逃避で作ったリリイ・シュシュのファンサイトに苦悩を書き込むいじめっ子。
この対比なんだけど。
最初は、いじめっ子は裕福な家庭で成績もスポーツもできるイケメン。いじめられっ子とも趣味があう。
しかし、親の会社が倒産、一家離散、部活もやめる。カツアゲした金で沖縄へ。
沖縄では、悪いことをした金を持っていたため神様が怒ったかのように、海から飛んできたダツが頭に当たったり、海で溺れたりして2回も死に掛ける。仲良くしていた旅行者もいきなり死ぬ。
死を体験したため吹っ切れて、暴力で教室を支配し、同級生のセックス動画を撮って脅して売春させたり、集団で同級生をレイプしたり。
しかし、苦悩して、リリイ・シュシュのファンサイトに逃げ込む。
いじめられっ子は、脅して売春させられた子に同情したりするも、無力で。
最期に、いじめっ子がファンサイトに書き込んでいる奴だと分かった後、いじめられっ子はいじめっ子を殺す。
映像も音楽もすんげー綺麗だから、内容がウツすぎて対比で気持ち悪くなっていく。映像も手振れひどくてますます気持ち悪い。
いじめっ子のキチガイっぷりが面白かったし、いじめられっ子のネクラっぷりもキチガイじみてるし。
そういう個人の身勝手な欲求を満たすために人権を奪われる周りの人間の様子も面白かった。
一番面白かったところは、「リリイ・シュシュに逃げ込む」っていう解決策に走っていること。
現実をキッチリ生きることができないから、仮想充っていうのかな、そういうのを目指すんだっていう。
あとは、音楽。普通のピアノの綺麗系の音楽流してるだけなんだけど。
ピアノっていうソリッドな趣味にこだわることの清潔感を感じた。
現実がどんだけクソでも、ソリッドな趣味はすばらしさを失わずにすばらしいし。
ピアノに打ち込むレイプされる女の子も芯が強く、ピアノに打ち込んでいる。
こういう、人間性が毀損されてる状況でも、ソリッドな趣味はソリッドにあり続けるってのがすばらしい。
クズ人間でも、数学で新しい証明をすれば、それだけで生きてたことが肯定されてしまうような。
そういう、人間性を超えたものの成立を理性で触知している人間の強さを感じられた。
現実逃避、ソリッドな趣味への信仰、クズな現実、人間性の弱さ。
これらをバランス保って表現できているのは、あまり見たことがなかった。
すばらしい。
校庭が歪んで見えた~白い体操着が見えた~
公開当時、2回か3回映画館に観に行ったわ。懐かしい。 内容は残酷なくせに、映像・風景・音楽が美しすぎて残酷さをさらに引き立てていたよな。 リリィ(後のSalyu)の歌声も独特で映...
ソナチネと並んで当時の沖縄に対する特別感が垣間見える