"はじめに、SEALDsとは、「Student Emergency Action for Liberal Democracy s」。日本語で言うと、「自由と民主主義のための学生緊急行動」です。
私たちは特定の支持政党を持っていません。無党派の集まりで、保守、革新、改憲、護憲の垣根を越えて繋がっています。"
と述べていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150915-00003690-bengocom-soci
この演説で、SEALDsの中にも改憲派がいるのだと初めて知って驚いた人もいるだろう。
つまり、「安保法案に対して反対」という一点によって無党派が集まった団体だということだ。
多くの人は、彼の言葉を信じて、これが彼らの活動の根本にあると受け取っているはずだ。
"別にSEALDsは戦争法案廃案のために立ち上がった団体ではねえですよ。もとの目的は改憲阻止" と明確にぶっちゃけている。
https://twitter.com/ILLMATIC_UCD/status/657101498933899265
こんな重要な点について、主要メンバーの奥田愛基と牛田悦正が語っていることには明らかな矛盾がある。
これだけ各種メディアで話題になっている団体についてこうも矛盾があるのに、なぜそれが語られないのか。
それはSEALDsという団体が明らかする公式的で明確な政治的主張はないというしかないからだ。
もちろん、「安倍が嫌い」「戦争反対」「戦争法案反対」というような緩やかな主張のつながりはあるが、具体的な公式見解はない。
なぜなら、彼らはリーダーを持たず、「SEALDsの公式見解」というものは存在しないからだ。
SEALDsに所属するメンバーがデモでそれぞれの意見を発表したり、インタビューに答えたりするわけだが、それはそれぞれ個人の意見なだけだ。
「肩を組んで酒を飲めば戦争はなくなる」とか「スイス軍的なものなら認めてもいい」とか発言はあっても、それはただの個人の意見なだけだ。
あるデモでのあるスピーカーの発言について異論を唱えたとしても、それは別にSEALDsとしての見解ではないということで大きな議論には決して発展しない。
例えば、あなたはSEALDsが「自衛隊が違憲か合憲か」どのようなスタンスを示しているか答えられるだろうか。
答えられないだろう。
これだけ安保法案の話題の中心にあり続けた団体が「自衛隊が違憲か合憲か」についてどう捉えているかということも、誰も知らない。
誰も分からずに、議論が進んでいたわけだ。何の前提も共有しないまま議論が進み、終わった。
これは安保賛成派にとっても、反対派にとっても不幸なことだったと思う。
SEALDsがリーダーを持たず、公式見解を持たないというのは意図的にやっていることで、チェ・ゲバラのゲリラ軍に学んでいるらしいということは各種インタビューで述べられている。
それは響きはかっこいいし、ゆるやかで大きなつながりを生んだことにつながったことは間違いないのだけど、
その結果、団体としての具体的な主張が明らかにされず、議論の前提が共有されない状況を招いているのは明らかだ。
もはや大きなムーブメントとなった今、具体的に議論をすすめていくうえで、具体的なイシューに対する団体としての公式見解が具体的に何なのか明らかにしなければ、議論は全て無駄になる。
だから、もう「無党派の集まり」などという欺瞞を捨てるべきだ。
あるいは、「自衛隊は合憲/違憲と捉えているのか」を明らかにしなければ、憲法と軍事の関係についてどう議論を進めればいいのだろう。
というか、何が議論されてきたのだろう。
なぜSEALDsが「自衛隊が違憲か合憲か」考えているかも分からずに、僕らはSEALDsに賛成したり反対したりしてきたのだろう。