2015-03-05

http://anond.hatelabo.jp/20150222214416

「子なし夫婦結婚制度フリーライドしているのではないか?」という主張には前々からもやもやしていたが、ある程度整理できたので書いてみる。

まず、結婚制度目的が「子作り」であると仮定する。ここで言う子作りとは性行為及び出産を言うので、里親養子縁組は含めない。制度目的が「子育てであるなら議論余地があるかもしれない。よって、ここでは取り上げない。また、将来的に同性カップルが子作りできる技術が普及するかもしれないが、現状において同性カップルは子作りできないとする。

すると、

  1. 異性と結婚をして子供を産むカップル
  2. 異性と結婚をしても子供を産まないカップル
  3. 同性カップル

の3つに大別される。子供を産まないという意味で2と3は同等であり、しかしながら2は制度恩恵を受ける。それは良いのか? という問いがよく聞こえる。答えを先に書けば「良い」である

まず、「制度」に関する一般論から入ろう。そもそも制度目的に厳密に合致していなければならないわけではない。むしろ複雑怪奇事情が生じる現実社会四角四面制度が厳密にカバーできるはずもない。例えば生活保護という制度は、どんな状況においても最低限生きていけるようにするためにある。一昔前に話題となった事例では、Kは莫大な収入があるにも関わらず、Kの母は生活保護を受けていたということがあった。ここでは、Kは悪意を持って母に生活保護を受けさせていたとしよう。これは制度目的合致せず、制度を厳格に運用すると言うのであれば、この穴を塞がなければならない。では、どのように塞ぐか? 親族に金があればダメとすると、DV等で逃げた人たちも生活保護を受けられなくなる。これでは当初の目的が毀損してしまう。

結婚制度に話を移そう。

異性カップルフリーライドは許容するが同性カップルフリーライドは許さないと言うのは筋が通らない。

という筋の通らなさは、制度目的を厳密に達成できないという事から生じている。Kの母が生活保護を受けているのに、金を持っている人が生活保護を受けられないのはおかしいといえるだろうか。どのような線の引き方をしても目的合致しないことがあるから線なんていらない、というのは横暴である

ではどのように線を引けばよく目的合致するだろうか? 現状において

  1. 異性と結婚をして子供を産むカップル
  2. 異性と結婚をしても子供を産まないカップル
  3. 同性カップル

で、2と3の間に線を引き、2が不当な利益を得ている者だ。これをもっと厳格に区別する「結婚要件」を定義することを考えよう。むろん、「男女」という以上の要件を加えた時点で憲法違反になるだろうが、ひとまず置いておく。

例えば

とするのはどうだろうか。なるほど、これなら子なし夫婦が減るかもしれない。しかし、「生殖能力がある」とはどのように定義するべきか? 治療可能なED等も含めるのか? それでは目的合致しながら恩恵が受けられなくなる人が出てしまうのではないか。

では、

  • 結婚は男女ができる。ただし、生殖器がない者はできない。

とすれば、子作りできる可能性が全くない者を排除できる。一方、結婚→子作り→離婚生殖器喪失再婚、というプロセスが踏めなくなる。

以上のように、目的を毀損せず、2のケースを減らす適切な制度設計が思いつかない(私が思いつかないだけなのだろうか)。疑わしきは被告人利益に、ではないが、

  1. 灰色

なら、2と3に線を引くのは妥当であり、子なし夫婦存在同性カップルを同列に扱うことはできない。

よって、結婚制度目的が子作りであり、同性では子を作れないという仮定の下、同性婚は許容されない

  • おお、反応があるとは思わなかったな。元増田?違う気もするが。 結婚制度を"単体"ではなく、目的達成のための制度体系の"一翼"と捉えてほしい。全ての恩恵を 結婚している/して...

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