2022-10-12

anond:20221012180553

からだが、編集担当仕事作品の種類によって割と違うぞ。


出版社による「編集」というのは大きく分ければふたつの側面がある。

雑誌 (とか出版社として得意な種類の出版物) を企画してそれに沿うように作家監督する」という企画者としての編集

作品を成立させるための資料集めや手続きマーケティングなどを行う」という代理人としての編集


漫画ラノベなどのエンターテイメントは前者寄りになる。 出版社意向に従えという力が強く出る。

作品の質が一定以上に面白いということは当然の大前提だけど、人気が出るには広く人目に触れるというのが重要なので広告力がものをいう。

まず存在を知っているという前提がないと選択肢に入らないんだから当たり前だよね。

更に言うと単純接触効果と呼ばれる現象があって、内容にかかわらず頻繁に目にするものには好感を持つものなんだ。

誰もが知っている大人作品であるワンピース」「名探偵コナン」「プリキュア」などより面白い作品というのは世の中にいくらでも埋もれているよ。

でも、これらに人気があるのは大手が大々的に広告しているからだ。


作品の人気に作家が貢献している割合というのは (たぶん作家自身が思っているよりは) ずっと小さい。

とはいえ、前述の「一定以上に面白い」というラインを越えられる作家すら割合で言うとそんなに多くは無い。

そしてどれが一定以上に面白いと思ってもらえるかってのは事前にはわからん

からある程度には多様性を維持するしかないし、その中でもなんとかウケる手法確立しようと出版社努力する。


状況が変わったのはいわゆる「なろう小説」の存在だ。

ウェブ上に投稿された素人作品の内でそこそこ人気があるやつを出版するという方法

ある程度はウケているということがわかっている作品出版する形になる。

どうすればウケるのか考えなくなるし、作家を育てるということもなくなる。

出版社存在価値が手続き流通だけになっていって作品に口出しするだけの知恵が失われているんだ。

口出しできるだけの能力がないのに昔のようなやり方が通用すると思ってるからいろんな齟齬が生まれグダグダだ。

記事への反応 -
  • 好奇心からの質問なんだけど、 実際いわゆる大先生じゃない作家さんって、意地を張れば編集部の意向をはねのけたりってできるの? 意地張りにも段階があって、連載引き延ばしを拒否...

    • 横からだが、編集担当の仕事は作品の種類によって割と違うぞ。 出版社による「編集」というのは大きく分ければふたつの側面がある。 「雑誌 (とか出版社として得意な種類の出版物) ...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん