■デウス・エクス・マキナ問題の整理

• 本来の「デウス・エクス・マキナ」は「機械から出てくる神（god out of the machine）」の意である
  • 古代ギリシアの演劇ではクライマックスでいきなり登場した神が混乱を収拾するという演出が多用された
  • 神を演じる役者がクレーンのような機械で宙吊りにされて登場したらしい
  • そのことから「問題を解決するためだけに脈絡なく登場するキャラクター」のことをデウス・エクス・マキナと呼ぶようになった
• しかし最近は「機械で作られた神」の意味で使われているらしい？←出発点
  • 「デウス・エクス・マキナ」は古代ギリシャと現代で使われ方が違う？「機械から出てくる神」か「機械じかけの神」か - Togetter
• 「deus ex machina」を「機械仕掛けの神」と訳すことは少なくとも1950年代から行われている
  • とはいえ「機械で作られた神」という意味でそう訳されていたのではない
  • 「機械仕掛けで登場する神」といったような意訳であると思われる
• 近年のフィクション作品ではロボット（あるいはそれに類する存在）に「デウス・エクス・マキナ」をもじった名前をつけることが多い
  • アニメ『THE ビッグオー』（ロボットの総称が「メガデウス」）
  • ゲーム『魔剣X』（主人公は「Deus Ex machina」という名前の人工生命）
  • ゲーム『Deus Ex』（サイボーグを主人公としたFPS）
  • ゲーム『斬魔大聖デモンベイン』（ロボットの総称が「鬼械神（デウスマキナ）」）
  • 映画『マトリックス レボリューションズ』（マシンたちの統合知性体の名前が「デウス・エクス・マキナ」）
  • 漫画『鉄のラインバレル』（ラスボスのロボットの名前が「デウスエクスマキナ」）
  • 映画『エクス・マキナ』（ガイノイドの話）
  • アニメ映画『プロメア』（「デウス・X・マキナ」という名前のロボットが登場する）
  • ゲーム『DAEMON X MACHINA』（ロボットに搭乗して戦う3Dアクション）　
  • などなど
  • 洋の東西を問わないのではないか
• これらも「デウス・エクス・マキナ」を「機械で作られた神」だと勘違いしたわけではないと思われる
  • 自然な発想として「ロボットの名前にデウス・エクス・マキナをもじってつけるのイケてね？」と考えたのだろう
  • なにせ「デウス・エクス・マキナ」という文字列はかっこいいからな…
  • その上でちゃんと原義を踏まえて「物語を終わらせる存在」とか「物語が演劇モチーフ」とかだったりするのがオシャレ
• 問題は「原義よりも先に上記の作品群を知ったことで『デウス・エクス・マキナとは機械で作られた神のことである』と勘違いした人」がいることである
  • Twitterなどで検索してみるとそういう人がちらほらいるので敢えて原義を調べなければ勘違いしやすいことは事実なのだろう
• というわけで
  • 「現代では意味が変わった」あるいは「オタク界隈では別の意味で使われている」とまで言うのは言い過ぎだと思う
  • 「勘違いしやすい土壌があるので人によっては確認の必要がある」くらいが妥当ではないか

Permalink | 記事への反応(9) | 14:53

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