2021-12-18

あの頃僕たちが聞いてたのは音楽ではなかった

ワイヤレスイヤホンが主流になった今となってはもう無くなった文化かもしれないが、ふと思い出したことがあった。わかる人はいるだろうか、セーターの袖からイヤホンを出して音楽聴くあれ。

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僕が中高生の頃はイヤホンなんて全部有線だった。

音楽もサブスクなんてもんはなかったかCDを買うかTSUTAYAに行ってレンタルをして、PCインポートして自分プレイリストを作っていた。

男子中高一貫自称進学校(笑)に通っていた僕はひたすらオタク道を進み続けていた。当時のオタクコンテンツを思い出すと、けいおんやら超電磁砲やらその辺になるだろうか。

そんな中僕のiPodにはひたすら当時流行ったアニメキャラソンが詰め込まれていたし、自分でも引いてしまうが当時ニコニコ動画でやたら流行っていた「ヤンデレCDシリーズも入っていた。

話題を元に戻そう。とにかく男子中高生なんてもの基本的馬鹿でくだらないことが大好きだ。僕達はいかに授業をやり過ごすかを考えていた。そして学校携帯所持禁止。見つかれば即没収の罰点累積の厳重指導という厳しい校則だった。

そんな中でも僕達は授業から逃げたかった。そこで考えたことが「授業中に音楽聴くこと」だった。しかイヤホンは有線。そこで誰が考えついたのか、始めたのか分からないがセーターの袖からイヤホンを出すというテクニックだ。窓際で頬ずえをついてつまらなそうな顔をしている分には自然だ。それがカースト上位勢の中でとても流行っていたのを覚えている。授業が終わるとわざとらしい大声で「マジでRADいいわぁ」やら「今どきはエミネムだべ」(当時僕はエミネムを知らなくてアメリカチョコレートのことだと思っていた)やら音楽への感想を述べていた。

あの頃彼らが聞きたかったのは音楽じゃなかったんだと思う。いや、何も聞きたくなかったのかもしれない。

学校生活に支障が出ない程度に)悪いことをしたい。つまらない授業をやり過ごしたい。友人から尊敬されたい。そんなちっぽけな物を求めていたんだろうと思う。

今の高校生ってワイヤレスイヤホンからそのまま耳に入れて授業とか受けられそうで便利そうだなと思いつつ、簡単に出来るようになったのは風情がないなと思ってしま自分がいる。アラサーになったらもう世間の中心ではないなぁと思った。ポケットに入れてたiPod nanoに思いを馳せつつもうおっさんだということを自覚した。

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