2021-12-16

魔法にかけられて、開いたドアと閉じたドア

魔法が解けた と逆の経験をした。今も私は魔法の中にいて、不便さと面白さと両方感じている。

昔、私は真面目な性格だった。

書類仕事は得意な方で、記入ミスがあるのを見ると「ここに指示が書いてあるのに、目が見えてないんですか?」ぐらいに思っていた。

基本的に枠にとらわれている感じの人間だったと思う。

そんなある日、胃腸調子が悪くなった。

大した病気では無かった筈なのだが、なぜか手術後に連日連夜、激痛に苦しめられた。

医療ミスだった。

このままの状態が数日続いたら死ぬな、と思った頃に別の医者に交代して再手術を行って何とか生還した。

退院するまで大分かかったし、退院後も当分の間は本当にしんどくて、ソファーでぐだぐだ過ごす時間ばかりだった。(幸い、今は良くなった。)

しかしそれ以降は、自分仕様が書き換わったのかと思うぐらいに出来る事が変化した。

まず書類仕事苦痛になってしまった。書いてある筈なのに目が滑ってしまう。

それ以前に書類を見ようという気力が沸かず、封も切る事も出来ない。

最近はどうにか気力を溜めて、締め切り直前に自分を追い込んで処理する感じだ。

旅行の準備も非常に苦手になった。昔は難なく出来ていたのに。

持ち物リストを見ながらでさえも、丸一日かかってしまう。それに非常に疲れる。

また以前から散らかし屋だったが、それも拍車がかかってしまった。

他にも日常生活でやりにくくなった事は沢山ある。

ただ、嬉しい変化もあった。

物語を紡げるようになったのだ。(主に短編

ちょっとした出来事ニュース子供の頃の宝物などから設定が浮かんでくる。

お話がするすると頭の中で流れ出す時はメモ帳にまとめていく。細部を詰めていると、カチッとパズルがはまったように感じる事もある。

登場人物言動ご都合主義すぎると「いや、私はこう動きたいから」と彼らは勝手に動き出す。

こういう時は頭の中がフロー状態というか、集中して頭も回転していてとても楽しい

書いていて気がついたら昼休みが終わっていたり。

出来はともかくとして、自分で書いた物語はとても愛しい。

体調がギリギリセーフの時だけ起こる魔法なので、書き留めるにはかなり頑張らないといけないけど。

この状態は、魔法にかけられたとも思うし、大規模メンテナンスリニューアルしたのかなとも思う。

いずれにせよ何か新しい扉が開いた感じがする。そして違う扉が閉じたのだろう。

そのせいで日常生活では不便な事も多々あるが、貴重な体験が出来たのは面白かった。

そんな訳で転職もして収入が減ったがなんとか暮らしている。

もう病気にはなりたくないけど、なったらなったで別の新しい扉が開くかもしれない。

認知症になったらある扉が開き、麻痺が起きたら別の扉が開くだろう。

自分以外にもこういう事が起こるのなら、どんなふうか是非知りたい。

将来、その開いた扉の中身を人にそのまま伝えられるデバイスが出来ていたらいいな。

読んでくれてありがとう

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