「生きてりゃ嫌なことあるわけだよ、誰でも。だから、おれにもあるわけね。そういうのは誰かに聞いてもらいたい」
「そうだよね」
「で、おれがそう思うんだから、たぶん『みんなも誰かに聞いてもらいたい』と推測できるよな」
「うん、まあ」
「ん?うん」
「天国でも地獄でもご飯食べるときに長~い箸を使うのね。テーブルの反対側に届くくらいの」
「うん」
「そんで地獄では箸が長すぎて自分の口に入れられないの。だから誰も食べられない。でも天国では長い箸を使って向かい側の人に食べてもらうの。だからみんな食べられるってお話」
「ほう」
「でさ、みんなが自分の話してたら、誰も他人の話を聞かないし、聞いてもらえない世界になるじゃん。地獄とおんなじ」
「うん」
「逆に、聞いてあげようって人ばかりの世界だったら?」
「そりゃあその方がいいけど、実際にはそうじゃないじゃん」
「そうでもない」
「えー、そうかなあ」
「そうでもないって言ったのは、全世界じゃなくておれの周り」
「じゃあ参考にならないじゃん」
「なんでだよwww」
「だってそんな人ばっかりいないよ」
「そりゃそうだ」
「じゃあ無理じゃん」
「いやいや、方法はあるよ。即効性はないけどね」
「ふーん…、どんな方法?」
「んーとね…、確認なんだけど、お前はおれの愚痴を聞いてくれる気あったりする?」
「え、そりゃあるよ、わたしも聞いてもらってるし、むしろ聞いてあげたいくらい」
「そういうこと」
「え?」
「聞いてくれる人ばっかりはいない、でもおれの周りには今いた、だろ?」
「ああ…そうか」
「わかってきた?」
「うん、なんとなく。でもわたし、お母さんが話を聞いてくれても聞いてあげたいとは思えない」
「そりゃ、いつもうんこぶつけられてるしな」
「どういうこと?」
「お前のお母さんな、いつもお前の都合とか意見とか聞いてくれる?」
「ううん、一緒にいたらお母さんがずっと話す」
「それ、うれしい?」
「ううん、しんどい」
「だよな」
「うん」
「それが『ぶつける』ってこと。片方は言い続けて、もう片方は黙って聞くの。しんどいだろ?」
「なるほど」
「お前さっき『むしろ聞いてあげたいくらい』って言ったじゃん」
「うん」
「そりゃそうでしょ」
「じゃ、おれの話をガマンして聞くよってことかな?」
「いや、役に立ちたいって思う」
「じゃ、お母さんの役に立ちたいとは?」
「思わない」
「なんで?」
「きっとわたしじゃなくてもいいし、会話したいわけじゃないって感じるし」
「なるほど、何かにぶつけたいだけってことね」
「うん。前は楽にさせてあげたいって思ってたけど、もう疲れちゃった」
「でもおれには楽になって欲しいの?」
「うん」
「なんで?」
「うーん…いつも気持ちを聞いてくれるじゃん?」
「うん、まあね」
「話すと楽になるのね。わたしもそうしてあげたいって感じかな」
「うん」
「さっき天国と地獄の長い箸の話したじゃん?」
「うん…あ!そうか」
「わかる?」
「うん、まだなんとなくだけど」
「さっき『実際にはそうじゃない』って言ってたけど、今もそう思う?」
「いや…うーん…、でもやっぱりお母さんには思えない」
「そりゃそうだろ」
「え、なんで?わかんない」
「おれとお前って何?どんな関係?」
「ん?友達でしょ?」
「そう。で、おれ、友達は大切にするの」
「うん」
「逆を言うと、大切にするのは友達だけ」
「う、うん」
「大切は、特別扱いって言い換えてもいいかな。友達じゃない人は特別扱いしない」
「うん」
「つまり、相手かまわずうんこを拾わないんだよ。おれが仮設トイレになるのは、お前がおれの友達だからだ。友達じゃないやつのために、仮設トイレ役を引き受けたりしないわけよ」
「うん」
「人を大切にするってさ、簡単にできたらいいけど難しいんだわ。全員を大切にするなんてほとんど無理なの」
「うん」
「うん」
「なるほど」
「友達に限らずみんなを大切にできる方がいいことのように思うだろ?違うんだよ」
「え、そうなの?」
「うん、違う。何かを大切にするってのは、他の何かを大切にしないこととセットなんだ」
「えー、納得しにくい」
「そうだろうな。でも、無理は続かないじゃん。大切にできたはずの人まで大切にできなくなるよ」
「そうかもしれないけど…」
「お前さ、音楽聞きながら本読める?」
「うん」
「そのとき、音楽も大切に聞いて、本も大切に読めてるって思う?」
「…」
「大切にしようと思ったらどっちかしかできなくない?」
「…うん」
「大切にしないって言ってもひどく扱うってことじゃないよ。特別扱いしないだけ」
「…」
「本当に大切にしたい人のために、あっちにもこっちにもいい顔しないってことだ」
「うん」
「友達じゃないやつを特別扱いしない分だけ、友達を特別扱いする余裕があるんだよ」
「なんかわかってきた気がする」
「お前、あっちにもこっちにもいい顔しようとしてるもんな」
「うん」
「それうんこ拾ってんだって。だからうんこぶつけたくなるんだよ」
「ああ、そっか」
「まじで?」
「疑えってwww」
「www」
「でも、大切にしたい友達がいると、すこし余裕が持てるんだ。それはお前もそうだろ」
「え、そうかな」
「あれ?お前、おれのこと大切にしたくないの?」
「大切にしたいって思う。大切にできてるかはわからないけど、いなくなったら困る」
「うん、うれしい」
「おれは友達じゃない人のうんこは受け取らない。その分それなりに耐えられるし、おれの話を聞いてくれる友達もいる。『おれは処理できる』ってそういうこと」
「そっか…うらやましいな」
「お前もそうなれるよ」
「え、それは無理だと思う」
「いやいや、おれが特別恵まれてるんじゃないよ。友達になるって決めたら大切にするだけだよ」
「そうなの?」
「うんこにたとえてるけど、要するにストレスなの。独りで発散する方法があっても、誰かに聞いて欲しいときもあるじゃん。そういうときは友達を頼っていいの」
「うん」
「誰だって愚痴なんか聞きたくないよ。でも大切な人は癒やしたい、役に立ちたいって思うじゃん。でも常設トイレってわけでもない。あくまで仮設トイレなの。いつでもうんこウェルカムってわけじゃないの。だからぶつけちゃだめで、相手の気分とか都合とかも気にして聞いてもらったらありがとうとかね。トイレはキレイに使わないと。そういうのが大切にするってことだ」
「うん」
「余裕がないとぶつけたくなっちゃうから、友達じゃない人を特別扱いしない。仮設トイレ役にもならない」
「うん」
「だから、お母さんもうんこぶつけてくるだけなら特別扱いしない」
「絶対、嫌味言われる」
「それでもいい顔しちゃだめなんだ。そんなの、うんこウェルカムって言ってるようなもんだ。拾わず、流して、相手しない」
「そういうことか」
「そう。だから自分が大切にしたいと思う人に集中する。そうしたら自分が大切にしたものだけが残っていくよ、当たり前だろ?」
「ああ、なんかわかった気がする」
「絶対やだ」
「いいよもう!どうせ死ぬんだから!」 「…ばかだなあ。死にたきゃ死んでいいけどさ、じゃあおれの話を聞いてからにしろ。そのくらいはしてくれてもいいだろ」 「…」 「あのなあ...
心のうんこは拾うな、流せ、相手すんな 「生きてりゃ嫌なことあるわけだよ、誰でも。だから、おれにもあるわけね。そういうのは誰かに聞いてもらいたい」 「そうだよね」 「で、...
俺の知り合いの女子大生のうんこ食いたがってる58歳のおじさんの話してもいい?
うまいこと書いてるけど「ぜひ読んで」とも言いづらいのでバズらない と思ってたけど結構ブクマついたな
うんが全部うんこなら良かったのに
安直なラノベにありがちな、会話文の羅列。 「今日ね、角落文庫の棚に行ったらね」 「ほう」 「いつもおいてある。し作家の本がさ、ないんだよ」 「やばい」 A,Bの会話だが、時...
言うてラノベで発話者が混乱することはむしろ少ないで。読みやすさに特化しとるからな。 ミステリとかでひたすら一人の台詞が続くときに段落代わりに「」で区切る作品のほうがある...
∧_∧ ( ´_ゝ`)<おk ∧_∧ ( ´_ゝ`)<同じ人物が2回喋っても区別をつけられる。 ∧_∧ ...
長いウンコ💩
ただ、心のうんこは、人にぶつけることでしか処理できないからなぁ…
「自分の機嫌は自分で取る」とあるように、うんこ溜まってる自覚があれば、バラエティ見たりカラオケしたりオタ活したり、相手が人じゃなくてもうんこは排泄できるよ。
「自分の機嫌は自分で取る」 これ結局、気に食わない奴を突き放す時だけ使うフレーズだからなあ あるいは自分でかっこつける時 いずれにせよお気に入りとか魅力のある相手とかな...
しばいたらええねん
社会に出たらご機嫌を取るというか、円滑に仕事するために普通に対応するだろ。
ただ、心のうんこは、人にぶつけることでしか処理できないからなぁ…