2019-10-09

早朝6時35分 入院先の父から電話がきた

「紙コップ、どこにあるん」

まだ絶食間中で、手術当日に看護師から持ちこんだ食べ物を持って帰るように言われた。

それと一緒に紙コップを持って帰ってきていた。

「はよう持ってこいや

鋭くイラついた声。

痛みが引かず、慣れない環境

数日間絶食していてストレスがたまっているのだろう。

今日面会のときに持っていくから、と電話を切った。

それから時間後にメール

「体を拭くシートを持ってきて」

面会時、言われた物を渡す。

「水もってこいって言わんかったか?」

メールにそんなことは書いてなかったけど。

「昨日言っただろうが」

言ったっけ?

「はぁ……(ため息)、財布は?」

それも言ってないよね。

「お前、ホンマに使えんな

あ?

ちょっとこれには腹が立った。

そのあとも水買ってこい、テレビカード買ってこい、と用事を済ませる。

他に持って帰る物はないかと尋ねると「ない」と返されたのでそのまま帰る。

「今週いっぱいは絶食から

安心したような笑顔

用事がすんだらとっとと帰れ、のスタンス

ふだん会話らしい会話もあまりしない。

話したいこともないので帰宅する。

2時間後、父からメール

洗濯物を取りに来てくれる?」

1時間後。

「洗剤持ってきて」

1時間後。

図書館から本を借りてきて」

完全に小間使いにされている。

これだけ元気ならもう毎日面会に行く必要も無いのでは?

何かあったときのためにと、忙しい職場でありながら融通つけてもらって、長期間有休習得させてもらっている。

上司心配してくれているし、同僚は「しっかりお父さんを看てあげてね」と優しい言葉をかけてくれた。

父に対して良い思い出はない。

小学生の頃はテレビリモコンや分厚い週刊誌で頭を殴られた。

中学生の頃は突然怒鳴られることにいつもおびえ、目をあわせることもできず、話しかけられまいと気配を消していた。

高校生になると、知らぬ間に私室を片付けられ、整理されて、子どもプライバシーはないのだと実感した。

昔に比べていきなり怒り出すことは少なくなった。

うそう怒鳴ることもない。

おかげで今では目を見て話せるし、主張できるようになってきた。

明日面会するときに持っていくから必要な物をリストアップしておいてください」

そうメールを返したが、ムカムカする。

そこに一時間毎の要望メール攻撃だ。

父のために有休習得して、自宅待機している。

もしも容態が急変して、なにかが起きたときのために、いつでも連絡を取れるように。

10分にも満たないが、毎日面会へ訪れ、様子も見ている。

「お前、ホンマに使えんな

もういいや。

絶食が終わるまで面会には行きません。

そうメールした。

返事はない。

5時間後、祖母から電話がかかってきた。

あんたのお父さんがね、ガンガン怒って電話をかけてきたんよ」

それで?

「そんなに言ったらいけんよ、って返したら突然切られてね」

そりゃあ肯定しなかったから腹立ったんでしょう。

「それでね、ちょっとあなたとも話をしたいなって。お父さんのことどう思ってるのか、気持ちを聞きたいのよ」

以前から言ってるけど、私の気持ちは変わりないからね。

「もう、そういう強情なところ。あなたもお父さんに似てるわよ」

そうだね。

でも怒鳴ることはしないけどね。

祖母との電話を終えて頭が痛くなった。

母が死んで、誰も怒りを受け止める者がいなくなったから、母方の祖母文句を言いにわざわざ電話したのだろう。

父はどこまで甘え続けるのだろうか。

私はもう付き合いきれない。

こういうとき放置しておくに限る。

生前の母もそうやってきた。

ようやく私の休日が始まって、ちょっとウキウキしている。

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