各地方の主要地点に支店があるくらいの規模の会社で、平社員の異動はあまり多くない。労働組合がある会社だからというのも影響してそうだ。だから平社員は異動ではなく初期配属時に地方に飛ばす。それが一番文句が出ないから。
異動の内示は大体2週間くらい前に受ける。引っ越しを伴う異動であってもあまり変わらない。確か、引っ越しを伴う場合は1か月前に伝えるとかいう仕組みがあったはずだけど、守られている様子を見たことはない。平社員はともかく管理職は本当に突然聞くらしく、そして平気で引っ越し有の異動になるから大変そうだった。私の上司だった人も急に福岡の支店長になるとかでバタバタしながら異動していった。
社員が家を買ったら転勤させる、みたいなことも普通にある。管理職は露骨にやる。管理職だし持ち家のローンもあるし、辞められないよね、って。
管理職の規定もよくわからない。管理職は会社にとって扱いやすいからか、やたらめったら管理職が存在する。
支店のトップは支店長。そして各支店には課がいくつかあって、そこのトップが課長。ここまではまあ普通だと思う。
その課長配下にも課長がいる。しかも複数人いる。つまり課のリーダーの課長と、平の課長が存在するわけである。よくわからない。
8人くらいのチームがあったとする。
課長がトップに1人。平の課長が3人。3年目と2年目と新人が1人ずつ。子会社から出向できている人が1人。こんな具合のメンバー光栄になる。半数が課長なのだ。
管理職の給与の基準は役職に応じて付けられる。役職を解かれたら自動的に降給。ほかの会社もそういったもんなんだろうか。所長だった人が異動してきて、平課長としてメンバーに入る。給与は自動的に2階級分降給だ。
平課長に人数規定はない。支店長や所長、リーダーの方の課長は部署に1人ずつしかいないから枠が決まっている。だからそこからあぶれた管理職は全員平の課長。
もはや管理職とは名ばかりで、管理職と規定されているが誰も管理していないし、中間管理職ですらない気がする。
素直に尊敬する。
その会社には、中堅と呼ばれる年齢の人がほとんどいなかった。3年目までの若手と、のこりはベテラン。平であっても課長になるとやっぱりやめないものである。生存バイアスがかかっているからか、そう対して大きな会社でもないのに派閥を作ってああだこうだやりあっている。
「自分が出世したらお気に入りのやつにいい評価を与えて、昇格させる」
だから俺に媚びろよ、とまでは言わないけれど、まあそんなようなものである。
面白いものだ。この会社で生き残ってなおかつ出世するには、そういった社内政治とか身の振り方が大事なのだ。
私はその会社を辞めて久しいが、まだ何人か当時の同僚が会社に残っている。たまに話を聞くけれど、どうやら内情は全く変わっていないらしい。