https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181106/k10011700411000.html
日本は企業側も労働者側も正社員を崇拝する文化だし、正社員ってのは入社時にはスキルがない(そして入社後に企業で育成する)のが前提なんだから、高度な技術を身につける動機がないでしょ。技術を身に着けてしまったら「白紙じゃなくて色がついている」として正社員ルートから外れちゃうんだから、むしろ身につけるのは不利なんだ。
また正社員制度は迂闊にクビが切れない雇用保障でもあるから、いったん入社した労働者はスキルアップする動機がない。スキルアップなんかしなくてもクビにはならないのだし、昇給は個人能力よりも景気に左右されるわけだから、努力する動機がない。クビにならないように態度だけ真面目に勤務すればいい。
逆に言えば、高度な人材を安定的に手に入れようと思ったら、従業員はすでにスキルを持っている人間をヘッドハント+全て期間契約で、そのかわり高額の賃金で雇用する形式にすればいい。これが記事で語られてる「人材の獲得競争に勝ちたいのであれば国際的な課題やルール」だ。
でも、このルールを自国の文化常識として取り入れると、職について働くってのは日々絶え間ない競争の中で対価を得るってことになる。自営業や外資勤務者にとっては「それあたりまえだろ?」って話なんだけど、日本では全く当たり前じゃない。日本において就職ってのは身分制度であって、労働のスタートではなく、学業のゴールなのだ。面倒くさい学業をやった結果、企業への就職というゴールがあって、そこで「正社員という身分」が得られて、あとはぬるま湯で一生賃金がもらえるってのが日本の労働観だ。
改革なんて実は簡単なんだけど、その改革の前提は「現在の日本の労働感を捨てること」なので、これが難しい。増田だってはてブだって、事あるごとに非正規を減らせ、正社員にしてやれって怨嗟の声が響いてる。高度な人材が欲しければ全く逆で「全員非正規にして優秀なやつを選んで雇用」が正解なわけだから、もうこれは正社員制度(終身雇用制度や年功序列)とは両立不可能なんだよ。