2018-09-11

被災した

揺れで起きたのかスマホの警告音で起きたのかもう覚えていない。自宅付近震度6弱だった。

ベッドをものすごい力で揺さぶられるような揺れで、マットレスに顔をおしつけて早くおさまれと思うことしかできなかった。

そのまま呆然としていた後に起こった停電で、とりあえず職場の状況を確認しなくてはいけないと思い、懐中電灯をつけて身支度をした。停電しているのにメイクまでして、今思えばこの頃はすぐ復旧するだろうとタカをくくっていたことがわかる。

職場で状況確認や各所への連絡を済ませ、タクシーに乗ったのは14時頃になっていた。スマホバッテリーがもったいなくてほぼ開いてなかったので、運転手の方に色々情報を聞く。停電からの復旧の目処は立っていない、今はガソリンスタンドや色々なお店に長蛇の列ができているとのことだった。

途中でも様々なお店に行列ができていた。

から何も食べておらず、どこかコンビニにでも寄って帰ろうと思っていたのがどれだけ甘かったのかとこの時やっと気付いた。

行列ができていない店はもう閉めており、ガラスの向こうに商品が見えていても、こちらにお金があったとしても買うことはできないのだった。

彷徨ったあげく住宅街の中にひっそりあるコンビニ話題セイコーマートだ)が青空営業をしているのを見つけ、なけなしの商品の中からお菓子を2.3個買った(それしか無かった)。どうせ食欲なんて無いのだ。

自宅では何もすることがなく、ただ呆然と座っていた。

普段自分がしていることで電気を使わないことは何かと考えを巡らせたが、拭き掃除と本を読むこと以外思いつかなかった。

掃除は水が出ないので却下し、日が沈むまではお菓子を食べながら窓辺で本を読んだ。ここだけを抽出するとすごくゆったりした休みみたいだ。

陽が沈んでしまい本を読めなくなると、本当にすることが無かった。この時一度恐る恐る開いてみたスマホで得た情報では、復旧まで1週間かかるとあったせいで、懐中電灯電池がいつ切れるかということすら心配だったのだ。

もう寝てしまおうかと思っても、ベッドに横になると揺れた時の事を思い出してしまって落ち着かず、ソファにもたれてぐるぐると色々なことを考えた。

お店の前で行列を作っていた人のうち、一体どのくらいの人が本当にその時必要ものを買いに来ているんだろう、家に本当にまったく食べるものがない人があんなにいるんだろうか、あれはきっといつ終わるかもわからない停電中、人々が集まっているのを見て、なんとかして自分の取り分を確保しようとして必要のないものまでかき集めているだけなんじゃないか

災害時なんだからいつもの食事をしようとしなくたっていいし、じっとしていればガソリンも減らないのに。

あれは一種ヒステリー症状であるのと同時に、停電ですることを奪われてしまって、とりあえずみんなが群がっていることに倣ってるのかしらと。

今日そうやって走りまわって、よしあと1週間でも大丈夫だ!と今安心している人がいるのかもしれない、じゃあ私はこれからどうする?あ、そういえば水でも20分くらい入れておけばカップ麺が食べられる状態になるって何処かで見たな?

と、とりとめもなく考え事をしていたら、急に電気が復旧した。陽が落ちてから4時間くらい、ソファにもたれた姿勢のままうとうとしていたらしい。

電気をつける前になぜか懐中電灯で照らしてPCの電源を入れると、薄明るい光が部屋を満たした。

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