はあちゅうさんがAV男優と結婚したという話が話題になっている。別に知り合いでもないし、それそのものについては何も言わない。だいたい、どんな相手であっても、結婚相手の選択を他人が揶揄するなんて、常識のある人間がやることではない。
自分が言いたいのは、「me tooとか言う人間が、AV男優と結婚して良いのか?」「フェミニズムとAV男優と結婚することは矛盾しないのか?」とかいう意見について。これおかしいので、このおかしさについて指摘しておきたい。
まず、me too運動は、フェミニズムと無関係であるというのは言い過ぎであり、時系列で見ればフェミニズムの成果に乗っかる形で、me too運動があるという見方はできると思う。とは言え、歴史的にはむしろフェミニズム独立する形で、語られたことに意味があると思っているし、その2つを同一視するのはおかしい。つまり、me too運動に参加したからとしてフェミニストではないし、実際彼女の過去の発言にフェミニストとしての要素は全くないと思っている。
その上で言うと、あえてフェミニズムとAV男優の関係で言うなら、もっと注目されるべきなのは、多くのフェミニストが、セックスワーカーの人権・・・さらに立ち入って、倫理的な位置づけについて関心を持ってきたということだろう。フェミニストの一部は、セックスワークが男性による搾取の産物であると考えると同時に、セックスワーカーが「汚い」とされる倫理規範がそれ自体家父長制の産物であるとして批判してきた。そういう意味で言うと、AV男優という職業は、セックスワーカーに対する加害者であるようにAVの視聴者には見える(そのように演じさせられている)以前に、彼自身もセックスワーカーであるということを忘れてはならないと思う。したがって、AV男優と結婚するという行為自体は、実に「フェミニスト的」であるし、控えめに言っても、フェミニズムは、女性がAV男優と結婚することを批判する根拠にできる理論ではない。
したがって、「フェミニズムとAV男優と結婚することは矛盾しないのか?」というたちの悪い批判は二重の意味でおかしい。はあちゅう氏がフェミニストであるという根拠のないレッテルを貼った上で、フェミニズムと全く矛盾しないAV男優と結婚するという行為を批判しているから。
自分が一番怒りを覚えるのは、フェミニズムを自分の都合の良いように一面的に解釈した上で、フェミニズムに関係のない個人を批判する根拠に使われていることだ。これは、フェミニズムにもはあちゅう氏にも失礼だし、まして、この過程で無意識に差別されているしみけんさんが気の毒でならない。
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