結果はタイトル通り。何を見せられたのか分からなくてしばらく呆然としてしまった。青春時代に愛したポーの一族とはあまりに違った物語だった。
村の民衆や市場、ホテルの客、生徒達が楽しく歌うシーンの多さが果たしてポーの一族に必要だっただろうか。少しはあってもいいだろうが長い2幕の劇においてあの明るさは過剰すぎた。またホテルの降霊術のシーン、あれがどんな意図を持って挿入されたのか分からない。訳の分からないオカルトによって現れるキングポーによって前半の厳かな一族の描写は台無しにされてしまったし、物語の空気が軽くなってしまった気さえする。しかも長いし典型的なオカルトキャラたちが邪魔すぎ。なんでそんなギャグキャラ出してきたんだ?
高速メリーベル回想パートもあまりにヤバすぎた。わざわざオズワルド一家を出して高速退場させる必要あった?なんかあまりに馬鹿っぽいし初見の人がついていきづらい内容だろう。サービスのつもりならやめてほしいし、軽い説明にとどめて欲しかった。
物語説明役の4人もいる意味がわからない。無理やり時系列にするための配役なのだろうが、正直喋りが上手くなくて混乱を呼ぶだろあんなの。キャストでなくて脚本のせいだ。
また、メインキャラクターの登場するシーンを大幅に捏造するのは大変にしんどかった。エドガーが妹の前で恩着せがましく誓うシーン、その後も執拗に「妹のため」と繰り返す台詞を吐く。またバンパネラになった後でさえ、苦悩を元気よく叫びヒステリックに走り出すエドガー。私の知らないキャラクターがエドガーの姿で歌い踊っていた。館で覗き見をした直後のシーン、エドガーは自分が殺されることではなく、メリーベルがバンパネラにされてしまうのだけが怖かったんだということがあの台詞回しでは全く伝わらない。何を思ってあの脚本になったんだろう。
またエドガー、アラン、メリーベルの創作シーン。メリーベルの「だってこの人まだ未練がある!」で完全に萎えてしまった。なんなんだそれ。寂しさを抱え誰とも相互不理解のまま生きるバンパネラでありながら明るさを失わないメリーベルにそんな安っぽい台詞を言わせるな。
ラストシーンでアランがエドガーについて行く理由付けにしたかっただけなんだろうが、そんなのアランの家庭描写で分かるしあまりに安易だった。
キャストの歌やダンス、外見、表情の作り込みは素晴らしくてそれだけで見に来た価値はあったと思っているが、少し期待しすぎてしまったのだろう。ショーの部分はとても楽しめたし宝塚オリジナルの劇は好きだったので、今後は原作が好きなものは極力見に行かないようにしたい。
原作だけ読んでろクソババア
私もそう思います。 本当に納得です。