2017-10-08

電通に鉄槌はくだされた」は正しいか

電通は今回謝罪して罰金50万円を払って鉄槌がくだされた! という記事があるんだが、そもそも本当にそうか?

しかに評判のダウンというのはそれなりに痛いのかもしれないが、電通クライアントのなかで「あそこはブラックから仕事を頼むのやめよう」なんて企業がいくつある? ないでしょう。社員5人で年商4000万円利益なんて数百万の会社にとって50万円はたしか大金だが電通にとってもそうなのか?

断言してもいいけれど、電通規模の会社、つまり純利益700億円で社員5万人弱の会社において、社を上げて「残業撲滅キャンペーン」をやるのは、月に数百万円の予算がかかるよ。委員会を立ち上げて、その委員会メンバーは通常の業務兼任だとしたところで、毎月何時間か拘束して会議をさせて、あるいは報告書を出させるだけでも(一般中小企業目線で見て)巨額の予算必要とされる。おそらく社外メンバー必要だろうし、適切なIR予算と、それ以上に不適切な社外アピール予算必要だ。実際残業が減ってそれで売上が下がるとかは全く計算に入れず、「社を上げて取り組んでます」というポーズを示すだけでも罰金十倍以上、下手したら百倍の予算必要となる。

まり、この罰金犯罪抑止に対して何ら価値を持たないということだよ。純粋金額的なリターンの話で言うならば、電通は毎月(毎年ですら無い!)50万の罰金を払ったほうが、残業撲滅キャンペーンをするよりも、遥かに経済的には得だ。ぶっちゃけ裁判で重役の時間を取られたことのほうが重役の給与を時給換算すれば50万よりダメージは上のはずだ。

電通オリンピック仕事も受けているし、その意味では官営仕事を受けている市注目度も高いので、それなりの対処はするだろうしそれを必死に示そうとする。そもそも事件後の雑誌記事で「残業が出来なくて厳しくなりました!」みたいな記事が出たことそのものが、電通反省しましたキャンペーンなわけだし。

でも、事実としては「罰金を払い続けたほうが、ビジネスモデルを変えるよりも経済的には得だ」という事実は全く変わらない。もちろん別に、だから電通が悪いと言うつもりはないよ。でも、これって法としてはバグってない? 抑止力という目的は果たされていなくない?

過労死有罪になった会社からは当該年の純利益の200%没収」くらいのほうが、法の目的からは正しくない?

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