俺の知っている限りあらゆるメディアがおぼえたてセックスはすごいのだと言い張るのだ。最近では「お兄ちゃん、右手の使用を禁止します」がそうであった。ほかにもさまざまなエロ漫画がおぼえたてセックスすごいと俺に囁いた。しかし俺はそのたびに疑問に思うのだ。おぼえたてはすごい。それはわかる。そこまではいい。しかし男女(であるとして)相互におぼえたてすごいやめられない、セックスすごいよぉと思えるためには前提条件がひとつ必要なのだ。それは少なくとも男性の側が早漏ではないということである。包茎であることもあまりよくない。この世界は敵だらけだ。
たとえば挿入から射精までの時間を5秒としよう。服を脱いでからふたたび着るまでの時間を1セックスとする。1セックスにつき何回射精できるかは個人差があるだろうが、おぼえたてはすごいのだから5回くらい射精できるとする。若いってすばらしい。みんな敵だ。しかし早漏の人はそのすべてを5秒で終える。仮に挿入時間と女性の側の満足度にある程度の比例関係があるとしよう(かならずしもそうとは限らないが、この記事の目的は単に逆恨みすることなのでそれでよい)。その場合、挿入時間と女性の満足度は1対1の比例ではなく、おそらく指数関数的な動きを示すはずだ。もっとも挿入してから男性が3日射精しないとかだと話は違うが、この場合そういう例外的な事例は措いておく。
指数関数的であるということは、時間が短ければ短いほど満足度の上がる比率は下がる。つまり5秒×5セット=25秒分の満足ということではなく「え、もう?」×5回ということである。これはすごいな。心折れるな。もう俺ヤギでいいやっていってヤギ探す旅に出るも、ヤギからも「え、めえ?」とか言われるレベルだ。もうだれも信じられない。ヤギですら。
つまり「おぼえたてセックスすごい」というのは、あくまで男性が早漏でないことを前提にしているということだ。神速のホワイトスペルマであるような人種は、何度セックスしても速度的な意味で常に神の領域にいる。時間が止まって見えるほどの異能があったとして、自分の内部では5秒を無限の時間に感じ「ああ、まだだ、まだ遠い……この5秒は永遠だ……」と思っていたとしても現実には挿入してフンッ、ハッ、あああ……である。
ご理解いただけただろうか。あとおぼえたてセックスすごいのとお医者さんごっこの経験ある人はそれを詳らかにしていただきたい。現実とファンタジーの境界線の彼方に我々は見果てぬ夢を見るのだ。
あと「お兄ちゃん、右手の使用を禁止します」は、すごく安定したテキストと、すごく妹かわいいのと、おぼえたてセックスすごいのと、妹かわいいのと、妹がすごいので、ぜひやってみるといいと思います。ただし個人的な嗜好により最初のえろしーんまでの煮詰まり感がすごくありがたいので、えろしーんを通過すると一山越えたなあって感じになってあとは作業になります。もっとなんかこう、お兄ちゃんの夢精ジュースが飲みたいとかいう理由で、煮詰まった状態を延々と繰り返して相互におあずけ繰り返すようなエロゲないすか。