父親はかれこれ30年近く海外に単身赴任していた生粋の仕事人間だ、
それなりの企業の取締役として新聞にも載ったことがある父親は、バリバリ働き、たまに家に帰ってきても仕事の話しかできないようなタイプだ。
しかし、父親参観日であるとか誕生日であるとか運動会であるとか。
どんなに地味なイベントであっても、父親は必ず日本に帰ってきて、私達子供と一緒の時間を過ごしてくれた。
仕事の話しかできない父親との会話は困難を極めたが、家のことを大切にしてくれていることはとても素晴らしいことだと思う。
社会人10年目になった今でも自分は当時の父親の年収の10%以下の年収に過ぎないことからも、早々居ない父親だと自慢に思っていた。
そんな父親が一年前に父親が定年退職をしてか、常に日本に居るようになったのだが、非常に良くわからないところでキレるのだ。
私が休日に遅い朝食を食べていたら、食卓の横のフローリングが少し濡れていたのだ。
父親が「ん? さっきその辺拭いたけど、どうした?」と聞いてきた。
拭いたにしては水たまり状態だし、寝ぼけてコーヒーでもこぼしたかな、と「コーヒーこぼしたっぽい」と言うと、父親が「いいよ、俺が拭こうか?」と言ってくれた。
なんで自分がこぼしたコーヒーを父親に拭かせるんだ、と言うことで、「良いよ自分で拭くよ」と言ったら思いっきりキレられた。
「なんだ! 俺は家の掃除もするなってことか!」
仕方ないので拭いてもらったが、とても居心地が悪い朝食になってしまった。
あるいは先月の話だ。
設定の問題か、タブレットがネットに接続できなくなった時に、母親が私に相談したところ、そこでもキレられた。
「なんだ! 俺だって元エンジニアの端くれなのに俺に相談もないのか!」
ちなみにネットワーク設定はキレている父親を尻目にルータを再起動しただけで直った。
かと言って、話しかけてもキレられる。
我が家にはノートン先生とウィルスバスターが両方入っているゴミみたいなノートパソコンがある。
母親が父親が帰ってきたタイミングでちょっと設定見直そう、と「このパソコン最近重いけどなんとかなりそう?」と父親に聞いたところ、
「なんだ! そんなことまで俺が考えないと行けないのか!」とキレられていた。
私がクリーンインストールした。
そんな日々に疲れきって、今日、耐えきれずに「何がそんなにイヤなの?」と聞いてみた。
「自分は家族の役に立ちたいとずっと我慢している。なのになんで家族は自分を蔑ろにするのか」という旨のことをやっぱりキレながら言われた。
愕然とした。
私達は父親が解決できそうなレベルのちょっと困ったことを探し出し、とてつもなく遠回しに「ああ困った困った」とアピールし、父親がそれに気付いてその問題を解決し、「やっぱり父さんがいないとうちはダメだねハハハ」と褒め称えるしかないのか。
家の中でもそんな息苦しい生活をしなければならないのか。
「おまえもう取締役じゃねーんだよ、つーかウザイから家出てくわ、早急に死んで」 って一回言ってみるとヘシ折れるか致命的に関係が終了するかの二択になるのでオススメ。
更年期障害じゃねえのかな
地域のイベントに関わったことがあるんだけど、そこでも元取締役のオジサンが空回ってたよ。 でも、少し仕事の相談するだけで、めちゃくちゃ嬉しそうな顔するんだよね。 要は、まだ...
仕事人間と言いつつ、自らの心に従って仕事をしていたのではなく、会社の価値観を内面化した形でずっとやってきてしまったのではないか。