2013-10-21

日本酒タブー

いろいろあって、C県の酒蔵を廻って情報収集することになった。

C県には約50ちょいの酒蔵があってそれぞれの日本酒リリースしている。

とりあえずアポをとって全部の酒蔵に訪問してみた。

すると杜氏(とうじ)と呼ばれる人の手で作ってる酒蔵は2件しかなかった。

いわゆる「夏子の酒」みたいなノリでつくっている酒蔵はC県には50件中2件しかないのだ。他はどうやって作ってるかっていうと、工場のようにオートメ―ション化してる酒蔵と、OEMでやってる酒蔵である

工場化してるところは、まだ自分のところで作ってるってことで、まぁしょうがいかなぁと思うが、OEMでは中身だけ関西の方から買って(タンクローリーが来て酒蔵のタンクに入れるだけ)瓶詰とラベルデザインだけをがんばっちゃってるのはちょっと痛い。

もっと痛いのは、OEMで作られた日本酒地場の米と水で作った日本酒だと思い込んでどや顔日本酒のうんちくを語る初老おっさんが一番痛い。

工場で作ってるとこは、機械で大量に作れるから他の酒蔵へOEM供給できちゃうわけで、ゴリゴリのもちつもたれつの関係

「本当かよ!?」って思ってる人もいるだろうから、実際に酒蔵に見学に行くといい。

建物歴史を感じさせるけど、人の気配がまるでないから。

すごいとこは立ち入り禁止のロープが張ってあるよ。

開きなおって、見学コース→なんて書いてあって行ってみると、昔使っていた古い木の大きな樽を見せてるだけで、もう博物館状態。

杜氏が本当に作ってるのならば、杜氏おっさん)の生活臭がしたり、米を炊いた香り、湿気、なにより人の出入りが激しいわけで。

見学なんて大勢で行ったら、杜氏おっさんにガン飛ばされてお邪魔しましたーって感じですから

それでも昔はちゃんと作っていたらしく、ほとんどの酒蔵は東北の方から杜氏を呼んで(半年ぐらいかけて)酒を造ってもらっていたんだ。だけど日本酒がどんどん売れなくなったらしく、杜氏を呼ぶ人件費が捻出できなくなったんだと。んで追い詰められた酒蔵は、人の手で作る日本酒をあきらめて、工場化 or OEMという選択を迫られた結果の現状らしい。

自分たちで作ればいいじゃないか、と思うが、日本酒作るのは相当難しいってことと、昔から東北から派遣を使っていたので、酒を造るノウハウがないってことと、(杜氏リピートが欲しいから酒蔵にはノウハウブラックボックスだろうし)地元杜氏になりたいなんていう若者がいないってことらしい。

C県は特に、昔から消費地である東京が近くにあったから、なんの努力もしないで日本酒は売れたわけで。これが大手日本酒メーカーが安くてそこそこうまい酒を全国に大量にまきちらしたもんだから、どんどん売れなくなるわな。マーケティングやら、ブランディング概念すら持たない酒蔵のおっさん達は、自分で売る努力をせず(そもそもそんな発想すらない)勝手工場化 or OEMの苦渋の選択を自ら課したんだろうなぁと。

まぁ結局、普段呑みの酒なんかは、金をだして呑んでる本人がおいしいと思って呑んでるならば、杜氏が作ろうが、工場で作ろうが、OEMだろうが関係ないっちゃぁ関係ないっていう人もいるだろうけど。

地酒って言われると、田舎おっさん一生懸命、人の手で作ってるんだろうなぁと勝手自分先入観を植え付けてるわけで、地酒メーカーさんは一言もそんなこと言ってないわけで。悪いことはなんにもしてないわけで。

でも知らなくても幸せなことってあるんだなって思いました。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん