2013-07-07

橋下の哀れさと、彼がすでに地獄を生きているということ

沖縄女性慰安所で頑張った」 橋下氏「感謝の念」 参院選遊説 - 琉球新報 - 沖縄新聞地域ニュース

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-209070-storytopic-3.html

この記事を読んでどう思った? 俺はこのひとがものすごく哀れな人だと改めて感じた。

しかに、「(本土では右派フィクサーが奔走して開設した)RAA沖縄にあった」という、

戦後沖縄帰属について少し調べてみればありえるはずのないことについて

根本的な勘違いをしたまま選挙演説という場で当事者県民に堂々とぶっていることも哀れだし、

そうした間違いをまだ周囲の誰も正してくれない、そうした人物が周囲に残っていないということも哀れだ。

ただ、俺が言いたいのはそういうことではない。

このニュースを報じるブラウザのタブを閉じてから半日ばかり俺の頭の中にこびりついたままだったのは、

この演説での「感謝」や「一生懸命頑張った」という語彙の使われ方の異様さだ。

政治立場がいわゆる保守であれ革新であれ、この状況でこの話題に言及するとき

真っ先にこの言葉を選ぶ人はほとんどいないのではないだろうか。

ここで「感謝」の部分に収まるのは、普通なら「申し訳なさ」や「遺憾さ」で、

一生懸命頑張った」の部分に入るのは、せいぜい「苦難に耐えた」とか「つらい目に遭った」とかだろう。

この違和感はなんなのか。

感謝」は、自分たちに恩恵をもたらしてくれた相手への、ねぎらいの言葉だ。

一生懸命頑張った」は、タスクに自発的に取り組んだ相手への、賞賛言葉だ。

ここでは当事者が被ったかもしれない「苦しみ」「辛さ」の感情が消去され、

ポジティブ努力と成果だけが取り出されている。

彼の表現からは、RAA米軍は確かに「悪い」ことをしたというニュアンスが伝わってくるのに、

(彼の図式では)その「悪さ」によるトラブルを引き受けさせられたことになるはずの

当の女性たちへの内面感情への想像が完全に漂白されていて、

彼女たちが状況において果たした〈機能〉についての外形的な評価だけが残っている。

俺が、彼を本当に哀れに思うのはここだ。

この人物には、他者の内面感情に対する洞察共感というものが完全に欠落している。

それが元々の性格なのか、職業的訓練によるものなのかはわからないが、

いまの彼の地位とスタンスは「他者には他者の感情がある」という根本事実を拒否することによって、

他者の存在自分の操る言葉ゲームの駒へと切り詰めることによって、成立しているのだ。

彼の批判者から、しばしば彼の語りが言葉遊びとか揚げ足取りだと批判されるのは、

彼には言葉の背後にある感情を読み取ろうとする意思がそもそもないからだ。

言葉はすべてゲームの道具であり、「敵」の言葉は、その綻びを突き崩したり、

自分の語りに有利になるように切り貼りして取り込んだりするためのパーツだ。

彼が対面するのは一貫した内面を備え、その思想や感情を表明する他者ではない。

自分が弁論を組み立てるための部品をだらだらと口から備給する装置なのだ

おそらく彼はこれからも、あなたや私が通常使うような意味

他者に「感謝」したり「一生懸命頑張った」と思うことも、

他者への「申し訳なさ」とか「遺憾さ」を衷心から感じることも、

他者の「辛さ」とか「苦しみ」という感情共感を示すこともないままに

彼が設定したゲームの枠内で生き、死んでいく。

その意味で、彼はすでに罰せられているともいえる。本人がそれに気づいていないだけで。

  • 匿名でしか批判できないお前が哀れ

  • この人物には、他者の内面の感情に対する洞察と共感というものが完全に欠落している。 政治に「感情に対する洞察と共感」って必要なのか?俺は政治家には粛々と合理的に利害調整...

    • 橋本を批判することしか考えてないクズばかりだから まともな議論なんかできるわけないよ 理論も破綻してるし、人の話なんか聞いちゃいない 橋本を批判することで自己のアイデンテ...

    • もう一回文章を読んでもらえば簡単にわかる事だけどこの文章は政治家としての橋本徹を批判している文章ではないし、ましてや橋本徹の政治家としての資質を問いている文章でもない...

  • こういった「よく分からんけど何か変だよ」的なことの理由をちゃんと言語化できる人は少ないです。読んでスッと身に入りました。頭いいですね。

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