2012-03-09

http://anond.hatelabo.jp/20120309142301

ああ、そういえばドイツにはあったね。「自発的去勢法」という制度がね。

あの制度は、ドイツ国内では、本人がそう望めば自発的に去勢できる制度という位置づけだからドイツ政治的な認識では「罰」ではなく「自発去勢」ということになっている。

しかし、今年の2月22日欧州評議会拷問委員会で、ドイツの「自発的去勢法」の停止を求める決議が採択されたことが話題になったことから理解できる通り、本人が同意していても、懲罰的に断種が適用され、優生学的に人種差別を実現する結果を導く事実に違いは無いから、実質的には罰であり、かつ、レイシズムだ。

そして欧州は、性犯罪を名目とした去勢罰を、決して容認しない。

 

性犯罪者に対する去勢手術の中止をドイツ要望 欧州評議会

http://www.cnn.co.jp/world/30005715.html

 

ドイツにおける断種は、かつては「治療」ではなく優生学的な民族浄化措置として考えられていた。ナチス時代には優等民族保護するためにT4作戦やレーベンスボルン計画などの積極的断種措置が実施された。(余談だが、ドイツの自発的去勢法の制定に参加した反性犯罪主義者の一部は、ナチス福祉局の関係者もいたという情報もある)

 

http://de.wikipedia.org/wiki/Aktion_T4

 

戦後ナチズムへの反省から優生学的な措置の廃止が進み、自発的な性器切断は反ナチス観点から違法になっていた。

しか1960年代ドイツリベラリズムが勃興し、「性の解放」の潮流が生まれると同時に、その反動としてネオナチも勃興し、性犯罪者に対する敵視傾向が保守派を中心に強くなり、性犯罪者撲滅の運動が形成された。

ドイツ性犯罪者撲滅運動が作られる中で、「性犯罪者は断種してこそ社会で受け入れられる」という妙な主張が広まった。

その妙な主張には、科学的な根拠は無かったのだが、ドイツ世論にはウケて、結局、1969年、26歳以上の性犯罪者が 「さらなる刑事上の犯罪を犯すと考える根拠となるような異常な性的衝動を示す」 場合にの去勢手術の対象になり得るという「自発的去勢法」が成立し、ナチス時代以来非合法だった去勢が合法化された。

 

ドイツネオナチレイシストたちは「断種などなまぬるい。ドイツ人としてふさわしくない異常性愛者はガス室安楽死させて処分しろ」と主張し、ナチスの復権を声高に求めているが、一般のドイツ人は彼らを白い目で見ているのも事実である

年に数件の「自発的断種」の実績が、今後増える見込みはまったく無く、ドイツ制度外国拡散する可能性も無い。まして欧州評議会が、ナチス復権を危惧しているならなおさらだ

 

異常性愛を踏み台にして人種差別を実現しようとするいかなる努力も、最終的には無駄努力に終ることは間違いない。

 

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