2024-02-11

石積み

幼少期

はじめて、教えられたのは

石積みだった

プルプル・・プル・・・

コトッ

ママ

「わーーーーーーーーー!!」

「パパ見てーーー! のんたんが、石積みしたよ!」

パパ

「おー、のんたん。さすが、でかしたぞ!」

ママ

「きっと、この子は立派な石積みする子になれるね!」

パパ

「そうだな、のんたんの将来が楽しみだ」

石積み、

それになんの意味あるかなんて、ぼくは分からなかった

だけど、ママもパパも、石積みをしている

隣のおじさんも、近所のお姉さんも、友達けいすけくんも

みんな毎日毎日、石積みをしている

ぼくは、ただなんとなく、石積みをしなければならないのだなって思った。


学校

学校で教えられることも、みんな石積みについてのこと

石積みについて、いろんな見方で石積みのことを教えている

先生は言っていた、みんな将来は立派な石積みをする大人になるんだぞ!って

クラスのみんなも、みんな毎日毎日石積みに励んでた

高く石を積めた優等生のおざきさんを、先生は褒めた

「おざきは、立派だ!みんなもおざきを見習って、高く積めるようになるんだぞ!」

みんな石積みをして、立派な大人になりたかった

立派がなんなのか、よく分からないけれど

石積みをちゃんとしていれば

いつかは立派な大人になれるんだと思ってた

だけど、

石積みは石積み

誰もしたい訳じゃない

したいっていうやつもいるけれど

それは、石積みをした後のことを楽しみにしていて

石積みだけがしたい訳じゃない

石をひとつひとつ積み重ねていく

それは、とてもめんどくさくて、退屈な作業

みんな石積みは嫌いだけど、けどしない人はいない

ぶーぶー文句いいながら、みんなちゃん毎日石積みをしていくのだ

中には、周りを油断させる為に

「俺、石積みなんて全然してないよー」とか言いながら

徹夜で、石積みをしているやつもいるか不思議なもんだ

コトッ

そして、ぼくも今日も石積みをする・・


社会

社会に出ても、ぼくは、毎日相変わらず

石積みをしている

ぼくは割りと、容量よく石積みが出来る方なので

子供ときから、積み上げてきた石の高さに見合う

会社仕事をしている

石積みを続けてきて、分かったこ

それは石の積み方には個性があるということだ

学生時代の連中も、それぞれ石を積み上げてきた

石をたくさん積むのだけど、慎重すぎて積み上がった石が高くないやつ

石を積むのはうまいんだけど、安定感がなくてどこか危なっかしいやつ

石積みというものをいまだに、分かっていないやつ

石積みをしなきゃしなきゃと言いながら、全然やってないやつ

一見大きな石の山のようになっているけれど、親の積み上げたものに石を乗せている、すねかじりのボンボン

そう比較すると、わたしの石積みはとてもバランスがよくて、石積みをよく理解していると思われるような綺麗な山だった

崩れないほどに安定していて、無駄に安定させず工程数も増やさない、理にかなった重ね方

石積みの真髄は、いか効率よく無駄な手間をかけずに高く積み上げること

そんな石積みを見て、まわりは評価する

君の石積みは立派だ

ぼくも君のような、石積みがしたいと

けれど、わたしには

いままでずっと感じていた疑問があった

なぜ、石 積 み を し な け れ ば な ら な い の か ?

子供とき、一度先生質問したことがある

「なんで、石積みをしないといけないの?」

「それはな、大人になってから分かる。そして大人になってから、石積みをしていて、よかったなーって気付くものだよ」

他の大人も似たようなことを言って、

同級生友達も「石積みはしなければならないもの!」の一点張り

それからわたしのこの疑問は胸の奥にしまわれたままだった

いつか、わたしが立派な石積みが出来たら、分かる日が来るのだろうと・・

けれど、そんな日は来なかった

理想の石積みに近づくほど、疑問は鮮明になっていき

日に日に、なぜ石積みをしなければならないのか

理解しなければならない気持ちが大きくなってきた

みんな石積みはしなければならないと、子供ときから教えられ

ただひたすら、石積みのことばかり教育されて、

石積みをさせるようにマインドコントロールさせているようにしか見えない

もう、意味もなく目的もなく

石積みをするなんて訳の分からないことするのは、疲れた

そんなある日、ひとつ広告を見つけた

「石積みに疲れたあなた。いらしてください」

路頭に迷っていたわたしは、行き先もないのでふらふらとその病院へ行った

すると、医師わたしに、鬱病だと言った

そうか、わたし鬱病なのか

鬱・・そうなのか? わたしおかしいのか?

石積みを真剣にしている方が、おかしくないか

まーまー、あなたは、いままでがんばりすぎるほど、たくさん石積みをしてきました。

もう、のんびり石積みをしていけばいいんじゃないんですか?

けど、わたしは石積みをする理由が分からいから、石積みをしたくないんです。

あんまり、石積みのことを考えてしまうと、それが負担なっちゃますから、あまり深く考えずに、のんびり〜のんびり〜いきましょう。

はぁ・・

あと、気持ちが安定するお薬も出しておきますね。

悩んだときは、これを飲むと、落ち着きますよ。

わかりました。



1ヶ月後

それからわたしは、石積みに対する疑問は、ならべく持たないようにした。

それでも、考えてしまう時は、安定剤を飲んで紛らわせた。

これからも、わたしはきっと、石積みを続けていくんだろうと、ぼんやり思った。

蟻たちは地面の腐敗物を清掃するように

きっと、石積みをすることが、わたしたちの役目なのだろうか

今日わたしは、石積みをする為に会社にいく。

あぁ、なにかおかしい気がする

気を紛らわせてまで、したくもない石積みをしなければならないのは

なぜだろうか

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